My Best Articles 2022 | #03 トレイル・カルチャーの未来を刺激する30人と、読者が選んだ2022年の記事TOP10ランキング
『My Best Articles 2022』の最終回。ついに、2022年のTOP10ランキングの発表です!
#01と#02では、トレイル・カルチャー (※) の未来を、それぞれの最高の個性をもって刺激してくれるであろう総勢30人が選んだ、ベスト3の記事を一挙に公開しました。
この最終回では、その30人が選んでくれたすべての記事を集計し、さらに読者投票も加算して (*)、TOP10ランキングにして発表します。
多くの人が選んだ記事はどれだったのでしょうか。10位から順番に発表していきます。
2022年のマイ・ベスト・アーティクルを選んでくれた30人
マイベスト記事を選んでくれたのは、僕たちTRAILS編集部がリスペクトし、独自の編集観点で選出させていただいたTRAILS的感性でイケてる人々。メーカー、ショップ、メディア、書店、編集者、ハイカー、ランナー、旅人、クリエイター、トレイルの作り手の方々など、総勢30名です。
第10位 (タイ) :あまとみトレイル開通 – 信越トレイルとつながる200km ※全3回
2021年10月に誕生した『あまとみトレイル』を取り上げた記事。ルート紹介記事ではなく、国内外のロングトレイルの成り立ちから紐解き、ロングトレイルが長い年月の積み重ねでできあがることを伝えた、全3回のレポート。ロングトレイルの歴史や成長過程に、学びや刺激、共感を覚えた、という声が多かったです。
トリプルクラウナー 舟田靖章:「信越トレイルから始まった日本の長距離トレイルが時間をかけて成熟してきたこと、そしてさらに着実にこの先も成長していくことを確信できる、心強い内容の記事でした」
第10位 (タイ) :北海道・歴舟川 パックラフティング & 河原キャンプ 2 DAYS(前編・後編) | パックラフト・アディクト ※全2回
TRAILS編集部とトレイルカルチャーを通じて出会った國分知貴くんによる新連載。北海道のパックラフターによる、北海道の川のパックラフティング・レポート第一弾。カナディアンカヌーとの比較に始まり、旅中のテント泊やテンカラなど自由に遊ぶ姿は、パックラフターはもちろん、それ以外の方にも魅力的に見えたようです。
PADDLE QUEST 堀川臣樹:「すでにカナディアンカヌーでパドリング経験があるパドラーが、パックラフトを使用した初めての旅。ひつのジャンルにこだわらず新しいカルチャーを取り入れる様子は、他のアクティビティをしていながらパックラフトに興味を持っている方に、ぜひ読んでもらいたいです」
第8位 (タイ) :HAMMOCKS for Hiker | 開催直前! ハンモックハイカー9人のスタイル紹介
ハンモックハイカー9人の、ギアや楽しみ方のスタイルを紹介した記事。一人ひとり、ギアのこだわりや遊び方に違いがあり、ハンモックの間口の広さ、魅力の深さが感じられる内容。この記事を読んで、ハンモックに興味を持った人も多かったようです。
おむすびブックス 梅田梓:「9人9様のハンモックとの出会いや関わり方があり、読み進めるうちに、『ハンモックってなんて素敵なアイテムなんだろう!』、とわくわくしてきました。今すぐハンモックを抱えて出かけたくなるような記事でした」
第8位 (タイ) :アリゾナ・トレイルのスルーハイキングレポート| by 河西祐史 a.k.a. Wonderer ※全6回
クレイジーなまでにアメリカのロングトレイルを歩きまくっている日本人ロング・ディスタンス・ハイカー、河西祐史 a.k.a. Wonderer (ワンダラー) の新連載第一弾。アリゾナ・トレイルのスルーハイキングレポートは本邦初ということもあり、そのワイルドな景観と未知の世界が、多くの人を魅了しました。
ロング・ディスタンス・ハイカー リズ・トーマス:「Wondererとはパシフィック・ノースウエスト・トレイル (PNT) で会いました。それ以来、彼のスルーハイキングを楽しく見ています。アリゾナ・トレイルはまだ歩いていませんが、このときのWondererの旅と同じように、秋に歩いてみたいと思いました。この記事に書いてあった寒さと雪の影響は、とても有益な情報でした。この春に、スタート地点であるバックスキン・ガルチとワイヤー・パスを歩きに行ったので、そのエリアでの彼が経験したことと、私自身の体験を比べるのも楽しかったです」
第7位:フライフィッシング雑記 田中啓一 #01 消える道具
こちらも新連載。フライフィッシャーであり、ハイカーであり、ファッションデザイナーである田中啓一さんによる、フライフィッシングにまつわるエッセイ。田中さんの道具論は、フライフィッシング以外にも共通するものであり、釣り人はもちろんそれ以外の人からも多くの共感が集まりました。
Campanella 石川寛樹:「全く同感である。道具とは無意識に手に馴染むものとして、またはその存在感が消えた時にこそ道具と言えるのではないか。釣り道具を作る身としては、まさにそんな方に使っていただきたいと願うものである」
第6位:TRAILS環境LAB | 松並三男のSALMON RIVER #16 鮭川村での3年間の振り返り(前編・後編) ※全2回
『TRAILS環境LAB』の記事シリーズにおいてスタートした、松並三男くんの連載レポート。鮭川村での松並くんの任期がいったん終了となるタイミングで、この3年間を振り返ってもらった記事。鮭を通じて自然環境を守り、良い循環をつくろうとしてきた松並くん。多くの人に気づきと学びを与えてきたこのレポートは、人気連載のひとつ。今後の活動に期待しています! という声が多数寄せられました。
モデル/フィールドナビゲーター 仲川希良:「誰もが環境に対して早急にアクションすべき状況のなか、一個人ができることを鮭を通して見せていただきました。先日千歳川で鮭の遡上とアイヌ漁を見てから、我が家で高まっている鮭熱。遊佐町は鳥海山と共に好きで度々訪れているのに鮭のことは知らず。今後の松並さんの活動のご報告も楽しみにしています」
第5位:HIMALAYA MOUNTAIN LIFE | GHT project 2022(トリップレポート)
TRAILS編集部crewの根津による、ヒマラヤのロングトレイル『グレート・ヒマラヤ・トレイル (GHT)』の4年ぶりのトリップレポート。ヒマラヤの景観に魅了された人にくわえ、このプロジェクトが『ヒマラヤは世界最大の里山だ』をコンセプトに掲げているだけあって、ヒマラヤの人々やその営みに興味を抱いたという人もいました。
ファッションデザイナー 田中啓一:「標高5,000mが普通に生活圏内であるということや、自然のスケールが日本とは別次元であるということなど、ヒマラヤはやはりアウトドア好きには憧れの地であるなあ、とこの記事を読んで実感させられた」
第4位:MAKE YOUR OWN GEAR | クラフトビール用・ULホルスターベルト(MYOG・製作編&実験編) ※全2回
「腰に何本ものクラフトビールをくくりつけるだけのベルト。そんなのがあったら飲むのが止まんなくなっちゃうな」という悪ふざけから始まった、ULホルスターベルトのMYOG (Make Your Own Gear)。製作編では製作過程を公開し、実験編ではこれを持ってハイキングに行ったレポートを紹介しました。「とにかく楽しむ!」というMYOGならではのスタンスが、多くの人に支持されました。
『WIRED』日本版編集長 松島倫明:「なんかどこまで機能的なのかけっきょくぜんぜんわからないけれど、その欲望の在り方はすごくわかります (笑)。けっきょくULって、いい意味で欲深さの裏返しだなと)。」
では、いよいよここから、栄えある『TOP3』の発表です!
トレイル・カルチャーの未来を刺激する30人と、読者によって選ばれた、2022年のTRAILSの記事TOP3とは?
第3位:釧路川スルーパドリング | 全長100kmの釧路川をパックラフティングとハイキングでつなぐ旅 ※全3回
第3位に選ばれたのは、釧路川の水源 (屈斜路湖) から河口 (太平洋) まで、全長100kmをパックラフティングする、スルーハイキングならぬスルーパドリングのトリップレポート。そもそもスルーパドリングという行為が珍しく、注目を集めました。と同時に、100kmをストイックにやりきるのではなく、川沿いの町に立ち寄り、温泉や居酒屋を楽しんだりするスタイルに、旅欲を刺激された人がたくさんいたようです。
信越トレイル 木村宏:「北海道の大自然と人間のちっぽけさが味わえる釧路川トリップ。寄り道も楽しそう。今、釧路湿原から阿寒摩周、知床をつなぐ壮大なトレッキングルートの計画もスタートしているなかで、川からの視点も感じてほしい、そう思わせてくれるこのトリップレポートはとても面白かったです」
読者コメント:「昨年歩いたMKT (摩周・屈斜路トレイル) のその先を見させてもらいました! 歩いて漕ぐだけじゃなく、地の物を楽しみ、土地の文化や生態系に触れられるトレイルだと改めて実感しました! 何回も足を運びたくなるような素敵な内容でした!」
第2位: TRAIL FOOD #01 | ULハイキング × トレイルフード by 尾崎光輝
TRAILS初のフードまつわる新連載が、第2位にランクイン! 「トレイルで、実際みんな何を食べているの?」。そんなリアルなTRAIL FOOD (トレイルフード) を集めた記事シリーズ。第1回目は、ガレージブランド『Jindaiji Mountain Works』のジャキさんこと尾崎光輝さんが登場。彼がULハイキングで食べているリアルなトレイルフードは、実践的なTIPS満載でトレイルで実際に試してみたいという声も多数。
BLUE LUG 松本和也:「自転車ツーリングにおいても、食べ物に関してはいろいろな考えがある。シェアする人、最低限の人、それだけが楽しみな人……。限られた持ち物のなかで、自分のプライオリティを確認する作業というのは風情があるし、自分の潜在意識に出会うチャンスだとも思う。僕は日清のカップラーメンだ。何を断言している! と自分でも恥ずかしくなるけど、カップラーメンなんだ」
読者コメント:「自分はハイキングも料理も好きなのですが、みんなが食べているリアルトレイルフードが、非常に気になります」
第1位:国産カスタム・フライロッドのパイオニア MACKY’S CREEK(マッキーズ・クリーク) ※全6回
2022年の栄えある第1位は、全6回にわたって、国産カスタム・フライロッドのパイオニアである「マッキーズ・クリーク」を徹底解剖した記事シリーズが選ばれました。
フライフィッシングの歴史からたどり直し、同ブランドの誕生背景、独自性、関係者による証言録、マッキー (宮坂雅木) さん本人の回顧録まで紹介。マッキーズ・クリークはもちろんフライフィッシングを知らない人まで、幅広い層に響いたようです。#01 #02で紹介したトレイル・カルチャーの未来を刺激する30人、そして読者の方々も含めて、もっとも多くの票が集まりました。
モデル / B.S.K.Kプロデューサー 春日潤也:「自分はこの記事を読むまで、こんな素敵な場所やプロダクトがあったことを知らなかった。知っていたら勇気を出してお店を覗きに行ったと思う。素敵すぎる常連さんがいるお店は、やっぱり最高な店なんだ。大人の溜まり場っていいな!」
読者コメント:「ちょうどフライフィッシングを始めたところで、タイムリーに歴史などを勉強できてよかったです」
読者コメント:「マッキーさんがとても格好いい。マッキーズ・クリークというブランドがどのように確立されてきたか、どのような雰囲気だったかが、対談やインタビューでよく伝わってきました」
* * *
『My Best Articles 2022』、これにて完結です。トレイル・カルチャーの未来を刺激する30人の方々、投票してくれた読者の方々、ご協力ありがとうございました。
そしてあらためて、この1年TRAILSを支えてくださったみなさま、ありがとうございました。TRAILS編集部一同、すべての方々に感謝します。
TRAILSは、2023年も新たな企画や仕掛け、試みにトライし、仲間たちと協力しながら、より一層、日本のトレイル・カルチャーを盛り上げていきます。
2023年もよい旅を!
Happy Trails!
※ トレイル・カルチャー:TRAILS(トレイルズ)は、トレイルカルチャーという言葉が未だ日本に存在しなかった2014年1月に、“本当におもしろくて、役に立つ、他にはない、リアルな情報” を合言葉に、インディペンデントでとんがったメディアを作るべく、日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンとして産声をあげました。それから約6年、有名無名を問わず世界中のコアな人たちにコンタクトをとり、Webメディアとしては異質とも言える、企画と編集に過剰にこだわる時代錯誤なスタイルを続けています。
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