GEAR

パックラフト・アディクト | #38 パックラフター12人が選ぶ マイ・グッド・パドル (前編)

2020.10.09
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文・写真・構成:TRAILS

パックラフト・アディクトたちがお気に入りの「マイ・グッド・ギア」を紹介する企画の第3弾は、「パドル」の特集。

パドルは、いわずもがなであるが、舟を操作する上での最重要ギア。しかしながら、パックラフトは川下りのギアとしては、比較的あたらしく登場したカテゴリーであり、パドルについてのレビューもそれほど多くなく、また絶えずTIPSがアップデートされている。

そこでフィールドの経験をもったパックラフト・アディクトたちが伝える、パドルのインプレッションやフィーリングが詰まった情報は、とても価値のある情報になるはずだと考えた。

またパックラフトは、メロウなツーリングから、ある程度のホワイトウォーターまで幅広く対応できる舟である。だからこそ、その人によるパドル選びの志向性や好みも、色濃く反映される。

ここで紹介するのはパックラフターの「マイ・グッド・パドル」であり、カヤックなどでより難易度の高いホワイトウォーターにチャレンジするには、またこれとは異なったTIPSが必要になる。

今回の前編では、TRAILS編集部crewの4人のパックラフトにおけるパドル遍歴をたどりながら、そのなかでのお気に入りと次にトライしたい (あるいは現在トライしている) パドルを紹介する。


佐井のパドル遍歴


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■ 2モデル
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(左から) 1. Aqua Bound / Splat Carbon 4 piece 210cm 2. Werner / Sherpa 197cm

① Aqua Bound / Splat Carbon 4 piece 210cm (アクア・バウンド / スプラット・カーボン 4ピース)
8年前 (2012年)、パックラフトのオーナーになると同時に購入したファーストパドル。当時はパックラフターの人口が本当に少なくて、パックラフティングに有効なパドルの情報も、今では想像できないほど頼りなかった時代。Alpacka Raft (アルパカラフト) でもサニーエモーション (※1) でも取り扱っていたのが、Splat Carbon (スプラット・カーボン) とManta Ray Fiberglass 4pc (マンタレイ・ファイバーグラス 4ピース)。漕ぎ味、スタイル、カラーリングなどの好みで、最初に買うパドルとして、いずれかを選択することが多いスタンダードな位置付けのパドルだった。

一本目のマイパドルを購入する前に、Manta Ray FiberglassとSplat Carbonをサニーエモーションのツアーなどで数回ずつ試させてもらった。Manta Ray Fiberglassは、体感値でもはっきりと確認できたブレードの柔らかさのせいか、いざという局面でもたつく感が拭えず、自分にはどうにもフィットしなかった。

そこで、ブレードのキャッチ力がManta Ray Fiberglassよりも高く、頭の中で描いたパックラフトのアクションと実際のアクションにずれが少なく感じられていて、いざという局面での安心感が高かったSplat Carbonを選択した。自分の前年にパックラフトを始め、Manta Ray Fiberglassを使っていたハイカーズデポの長谷川さんにSplat Carbonを勧められたのも大きい。

素材は軽量な合成樹脂 (abx) カーボンのブレードと耐久性のあるT-700カーボンシャフトで作られており、性能と強度のバランスが取れたモデル。当時のメーカーのカタログではManta Ray Fiberglass 4pcはツーリング、Splat Carbonはホワイトウォーターのカテゴリーに属していたが、経験則的にもホワイトウォーターにもツーリングにも使えるオールパーパス (※2) 的なパドルとして愛用している。

② Werner / Sherpa 197cm (ワーナー / シェルパ)
ホワイトウォーター専用として購入した2本目のパドル。購入タイミングは、パックラフトを始めた年か2年目のシーズン。サニーエモーションのツアーPR3 (※3) でホワイトウォーターを数回経験し、次が岩や落ち込みが多くよりトリッキーなパドルさばきが想定された、遠山川のツアーに行く直前だった。

Werner(ワーナー)というブランド自体への興味はもちろん、よりホワイトウォーターに特化したパドルとは何が違うのかというギアホリックとしての血が騒ぎ、海外のレビューなどでホワイトウォーター用パドルとして評判の高かったSherpa(シェルパ)を購入。

ギアホリックとしての個人的な哲学として、ひとつ上のグレードのギアなど、未体験の道具と積極的に向き合うことで得られる “ 先人の知恵からの学び ” に大きな価値を感じている。

自分の周りにいるギアホリックは、プロダクトデザインをいちいち科学したがる、そういう人たちばかりのような気がする。当時から(今もだけど)、パドラーあがりのパックラフターは仲間内にはいなかった。ハイカー同士で互いに試行錯誤しては知恵の物々交換をするという行為を繰り返し、カルチャーのアップデートを行なっていた。今回のマイ・グッド・ギアをやろうとした背景もこれである。

このパドルの購入で、ベテランパドラーからすれば当たり前である、単純なことを教えてもらった。パドルの長さや形状、ブレードの形状や素材の違いが漕ぎ味にどう影響するのかということを。まず、Splat Carbonより約10cm短いことで細かく素早いストロークが可能となり、クイックネスは格段に上がったというのが、体感値としては一番の違いだった。

加えて、その恩恵こそ未だ体感不足ではあるが、握りやすさを狙っているのか、シャフトの形が楕円形をしている。次にSplat Carbonよりも縦幅のある大きいブレード形状は、キャッチ力が非常に高く、パワーのある男性がホワイトウォーターなどで、いざという局面を一漕ぎの力技で打破するのには向いているのではないかと思う。

難点があるとしたら、逆に女性や力のない人からすると、キャッチ力がありすぎてパワーを必要としすぎてしまうのではないかという点。加えて、ブレード素材がSplat Carbonと違い、岩などでのぶつかりに弱く、やや気を使う素材だということ。また、ツーリングなどで使う時はSplat Carbonとかの方が、ゆったりとしたストロークを肴にメロウなダウンリバーを堪能できるのではないかと思う。ちなみに、僕はツーリングではSherpa (シェルパ) を使ったことがない。

■ お気に入りの1本 Aqua Bound / Splat Carbon 4 piece 210cm (アクア・バウンド / スプラット・カーボン 4ピース)
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Aqua Bound / Splat Carbon 4 piece 210cm

<お気に入りポイント>
ツーリングでも不満のないゆったりとしたストロークを実現してくれているのが、ホワイトウォーター用のパドルとしては長い、210cmという仕様。そして、ホワイトウォーターにおいて安心度の高いレスポンスを返してくれる、絶妙なブレードの硬さと大きさ。最後に地面を思いっきり叩いても大丈夫なのでは? というほどのブレードのタフさ。当然、最近のパドルのほうがよっぽどお利口なのだが。国内外のさまざまな川旅を共にしてきたバディとしての信頼感と、圧倒的に優れているポイントはないゆえの、そつのないバランスの取れた性能がお気に入り。

これらの特徴が与えてくれる絶大な安心感は、初めて行く川旅ではもちろん、同じ場所でも行く度に顔色が違う川というフィールドにおいて、常に精神的支柱として川旅を支えてくれる。残念ながら2015年に廃番となってしまったが、お気に入りなので予備としてもう一本所有している。

<物足りないポイント>
無理やりワガママを言うのなら、もう少し軽くなり、長さ調節ができたら最強になる。

■ 試したい1本 Aqua Bound / Shred Apart 6 piece 220cm / 240cm
(アクア・バウンド / シュレッド・アパート 6ピース)

ULハイカー的には、オールパーパスで737gと最軽量なAquabound Whiskey (アクア・バウンド / ウィスキー)の購入も検討している。

一方で、じっくり試したいのは、Aqua Bound / Shred Apart 6 piece 220cmと240cmの2つのタンデムパドル。以前から所有していたものの、妻の出産などで出番の少なかったタンデム艇 (二人乗りボート) Explorer42 (エクスプローラー42) の実験が、バダさんのOryx (オリックス) 購入に触発されて再開された。また、ラグジュアリーなタンデム艇であるOryxも購入したので、しばらくはタンデム用パドルの最適な長さを追求したい。

Explorer42での実験的には、妻は220cmでも長すぎたので、確実にシャフトを短く切る予定。ただ、いかんせん最適なサイズがわからないのと、Oryxではさらに必要な長さも変わってくるはずなので、当面は現在の長さのまま双方の舟で2種類のパドルの長さを試し続けたい。


小川のパドル遍歴


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■ 2モデル
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(左から) 1. Aqua Bound / Manta Ray Carbon 4 piece 210cm 2. Werner / Pack-Tour M Adjustable Length Paddle 4 Piece 200-215cm

① Aqua Bound / Manta Ray Carbon 4 piece 210cm (アクア・バウンド / マンタレイ・カーボン 4ピース)
パックラフトを始めたときに購入した最初の1本。ホワイトウォーターにもツーリングにも使えるオールパーパスのパドル。Wernerのファイバーグラス素材のブレードと異なり、合成樹脂 (abx) カーボンを使ったブレードは少し柔らかく、粘りのあるしなやかな漕ぎ味が気に入っている。

特にツーリングの川旅との相性は抜群。しなやかな漕ぎ味で、水のキャッチ力が強すぎず、1回のストロークで、力を使いすぎずにじっくりと大きく漕げるので、長いツーリングでも疲れづらい。836gという軽量さも疲れづらさをサポートしてくる。トロ場 (※4) で風が強いときは、角度を90°まで変えられるので、風の抵抗も少なくすることができる。

ブレードには頑丈な素材を使っているが、5年間、岩や川底に気にせずがんがんぶつけて使い続けてきたら、とうとうブレードの先が欠けてしまった。だが、今も補修して使い続けている。

長さが210cmなので、ホワイトウォーター向けに、切り詰めてもう少し短くしようか悩んでいる。しかしツーリングのときの、大きなストロークで漕げる気持ち良さを捨てる気にはなれずに、今の長さのままにしている。

② Werner / Pack-Tour M Adjustable Length Paddle 4 Piece 200-215cm (ワーナー / パックツアーM 4ピース)
2本目に購入したのが、Wernerがパックラフト用に作ったこのPack-Tour M (パックツアーM)。自分のスキルも上がり、激しめの川にもチャレンジできるようになり、それまで持っていた210cmのパドルでは、俊敏性がちょっと足りないと感じるようになった。

それで200cmの長さにもできるこのパドルを選んだ。長さ調整が可能で、ツーリングのときは長くして使うことができるので、この1本で広くいろんな川に使うことができるのが気に入っている。

■ お気に入りの1本 Werner / Pack-Tour M Adjustable Length Paddle 4 Piece 200-215cm (ワーナー/ パックツアーM 4ピース)
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Werner / Pack-Tour M Adjustable Length Paddle 4 Piece 200-215cm

<お気に入りポイント>
僕はこの2本目のパドルを買うまでに、5年の間、1本のパドル (Manta Ray Carbon) を使い続けてきた。自分の性格上、スキルが一定程度まで上達するまでは、いろいろなものを試さずに、同じものをずっと使い続ける癖がある。同じものを使い続けることで、自分の体感値をもってその道具の特製がわかるようになるからだ。

そしてようやく次のパドルが欲しくなって買ったのが、このPack-Tour M。スキルアップとともに、流れの強いホワイトウォーターや、岩をよけながら進むテクニカルな川を攻められるパドルが欲しくなった。

ブレードは同ブランドのShuna (シューナ) と同じ中型サイズのブレード。Shunaはパートナーが持っているので、使用感はしっかり確認済みであった。漕ぎ味に粘りのあるManta Ray Carbonと比べると、キレの良さとキャッチ力の強さが特徴。200cmまで短くできるので小回りも効く。

パックラフト用に開発されたパドルで、215cmまで伸ばして使えば、ツーリングのときにも使える多用途に使えるのも嬉しい。

<物足りないポイント>
4ピースで長さ調整機能があるので、片方のシャフトは長くなってしまう。そのため収納性が悪く、飛行機を使った遠征などでは、機内持ち込みの荷物サイズを超えてしまい、預け荷物に収納しなければいけないのが面倒。

またシャフトの素材がやや滑りやすいので、たまに手がすぽっと抜けてしまうことがある。グローブをつけるのはあまり好みではないので、グリップ (滑り止め) になる素材を巻いて補おうと考えている。

■ 試したい1本 Werner / Player 1 Piece Bent Shaft 194cm (ワーナー / プレイヤー 1ピース ベントシャフト)
フリースタイル用のパドル。先日、パックラフト仲間のまみちゃんにこのパドル (まみちゃんのは188cm)を借りて、その漕ぎやすさに惚れてしまった。ほどよいキャッチ力で、小回りの効く操作性が抜群。ベントシャフト (※5) の操作性の良さにも改めて驚いた。

水位が浅くて、岩の多いテクニカルなホワイトウォーターを漕ぐのに、短く操作性の良いこのパドルがいいなと思っている。4ピースもあるが4ピースだとストレートシャフトしかない。1ピースのベントシャフトだと、ハイキングや電車やバスの移動と組み合わせたときに、バックパックに詰め込めないという難がある。悩ましい選択だが、今はベントシャフトの漕ぎやすさを重視して、ベントのタイプを買おうかと考えている。


根津のパドル遍歴


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■ 2モデル
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(左から) 1. Aqua Bound / Splat Carbon 4 piece Paddle 210cm 2. Aqua Bound / Manta Ray Carbon 4 Piece 210cm

① Aqua Bound / Splat Carbon 4 piece Paddle 210cm (アクア・バウンド / スプラット・カーボン 4ピース)
パックラフトを始めた2017年当時は、とりあえず、すべてのギアをTRAILS編集部の仲間から借りていた。

そのパドルが、佐井が所有していたSplat Carbon (スプラット・カーボン) だった。自分が選んだわけではなく、たまたまこれになったというわけだ。初心者ということもあり、パドルの判断基準もなければ、好き嫌いもない。言われるがままに使ったというのが正直なところ。

ただ、佐井も書いているように、ホワイトウォーターカテゴリーのパドルながら、体感値としてホワイトウォーターにもツーリングにも対応できて、かなりオールマイティであるという話を聞いていた。

自分自身、今後どんなスタイルでパックラフトを楽しむかわからなかったこともあり、であれば何かに特化したパドルよりは何にでも対応できるものが良いと思っていたし、実際、なんの不満もなく約2年にわたり使用させてもらった。

② Aqua Bound / Manta Ray Carbon 4 piece 210cm (アクア・バウンド / マンタレイ・カーボン 4ピース)
2019年にそろそろマイパドルが欲しい、と思ったタイミングで購入したのがこのManta Ray Carbon (マンタレイ・カーボン) だ。Werner (ワーナー) のパドルも気になってはいたが、これまでAqua Bound (アクア・バウンド) を使用してきて不満がなかったこともあり、同ブランドの中から選ぶことにした。

Manta Ray Carbonにしたのは、オールパーパスモデルと銘打っていたのと、重量836gと、1.02kgのSplat Carbonよりも軽量であることから。

とはいえ、これを選ぶにあたって、徹底的に他のモデルと比較検討をしたわけではない。他のパックラフターからの評判なども聞いた上で、まあこれでいいんじゃないな、という感じで購入した。

自分は、ハイキングにおいてもそうだが、どちらかというと自分に最適なギアを選ぶというよりは、ギアに自分を合わせていくことを楽しむタイプだ。そんなわけで、このManta Ray Carbonともかなり長い付き合いになるんじゃないかと思っている。

■ お気に入りの1本 Aqua Bound / Manta Ray Carbon 4 piece 210cm (アクア・バウンド / マンタレイ・カーボン 4ピース)
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Aqua Bound / Manta Ray Carbon 4 piece 210cm

<お気に入りポイント>
自分にとっては、比較対象がSplat Carbonしかないのだが、それと比べて200g程度軽量であるのは、より負荷が少なく扱いやすいと感じている。

また、Splat Carbonにはなかったシャフトの接合部分の機構、Posi-Lok™ Ferrule System (ポジロック・フェルール・システム) は、かなり使いやすい。以前に比べて視認性がグンと上がったのと、着脱が容易 (リリースする際のボタンが押しやすい) になったため、セッティングも撤収もスピーディーでストレスフリー。

さらにシチュエーションに合わせて、ブレードの角度を0°、30°、45°、60°と小刻みに変えることができるのも特徴だが、これに関してはまだ使いこなせておらず、今後いろいろ試したいと考えている。

<物足りないポイント>
特にない。というか、自分のスキルがまだまだということもあり、物足りなさを感じるレベルではない。しばらくはこれを使い続けたい。

■ 試したい1本 Aqua Bound / Whiskey Carbon 4Peace (アクア・バウンド / ウィスキー・カーボン 4ピース)
しばらくはManta Ray Carbon1本で行こうと考えているが、あえて挙げるのであれば、同じブランドのWhiskey Carbon (ウィスキー・カーボン)。ハイキング&パックラフティングという旅を想定した時に、Whiskey Carbonの737gという軽さは、大きなメリットになると考えているからだ。


カズのパドル遍歴


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■ 2モデル
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(左から) 1. Sawyer / Cedar Surge II 205-230cm 2. Werner / Shuna 4 piece 210cm

① Sawyer / Cedar Surge II 205-230cm (ソーヤー / セダー・サージ II) ※ Alpacka Raft別注モデル
最初に購入したパドル。サニーエモーションのツアーに参加して、いろんなパドルを試してから、自分に合うパドルを選んだ。

男性よりもパドルを漕ぐ力も握力もないので、腕の疲労と取り回しのしやすさを考慮して、軽いことを最優先に購入を検討した。このパドルは、823gとパートナーが使っているSplat Carbon (スプラット・カーボン) よりも約200g軽量。

また、当時Alpackaraft (アルパカラフト) が取り扱っていたパドルでは唯一、長さが205~230cmまで調整可能だったのでホワイトウォーターでは短めに、ツーリングでは長めに、とと旅のタイプにあわせてアジャストできる汎用性の高いパドルとして購入した。

② Werner / Shuna 4 piece 210cm (ワーナー / シューナ 4ピース)
パートナーがWerner (ワーナー) を使い始めて、漕ぎ味が全然違うと聞いていたのでホームページで850gと軽量でホワイトウォーターでもツーリングでも使える汎用性の高いShuna (シューナ) をリサーチしていた。

サニーエモーションのツアーで実際に使用してみたがパドリングしやすく万能だったので購入。ジョイント部分が15°刻みで角度調整が可能であったり、ブレードの素材が木製より安心感があがったので気兼ねなくガシガシと普段使いできるようになった。

使い始めて数回のパックラフティングでの所感は万能感があり、満足している。購入してすぐに出産となり、しばらくパックラフトを控えていたことこともあり、漕ぎ味に感してはこれからもっと吟味していきたい。

■ お気に入りの1本 Sawyer / Cedar Surge II 205-230cm (ソーヤー / セダー・サージ II) ※ Alpacka Raft別注モデル
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Sawyer / Cedar Surge II 205-230cm

<お気に入りポイント>
とにかく木目のデザインがクラシックで、旅感あってかっこいいのがお気に入り。加えて見て楽しむだけでなく、軽量だったり、長さ調節が可能だったりと機能面も充実している旅の相棒として信頼できるパドル。

さまざまな川に適応可能なので、旅先に合わせて道具を選ぶ際に迷うことも少ない。またタープで野営することが多いので、ポール代わりとして、他のパドルより長い230cmまで伸びるのも嬉しい。

<物足りないポイント>
私のモデルは初期モデル (現行品に比べて木の部分が多い) なので、川の状況次第では破損を気にする場面がある。木製ゆえに、岩の多い遠山川で使った時に破損を気にしながら漕いだのが少しストレスだった。

■ 試したい1本 Aqua Bound / Shred Apart 6 piece 220cm (アクア・バウンド / シュレッド・アパート 6ピース)
ひとりで漕ぐ時は、Werner / Shuna(ワーナー / シューナ)の漕ぎ味をもう少し味わっていきたい。ただ、しばらくはタンデム艇で遊んだり、旅したりすることが増えそうなので、このタンデム用パドルを使い続け、自分に適したサイズ感を早く掴みたい。

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TRAILS編集部crewの4人だけでも、これだけの情報量を持つ読み応えのある記事となった。

次回の後編では、仲間のアディクトたち8人に登場してもらい、それぞれの「マイ・グッド・パドル」を語ってもらう。

総勢12名のパックラフト・アディクトたちの、フィールドでのリアルな体験談は、パドル選びにおけるいい参考材料になるはずだ。

加えて後編では、サニーエモーションの柴田健吾さんのアドバイスも含めた、パドル選びのTIPSもがっつり紹介するので、お楽しみに。

※1 サニーエモーション:日本初のパックラフティングのガイドカンパニー。アルパカラフト(ALPACKARAFT)の輸入代理店でもある。少人数制で、未経験者の講習から上級者向けのルートガイドまで、随時ツアーを開催。エントリー層向けのツアーは主に安曇野エリアにて。代表を務めているのが柴田健吾さん。https://sunnyemotion.jp

※2 オールパーパス:直訳すると「多目的」。ことパドルにおいては、ツーリングでもホワイトウォーターでも使用できることを意味する。Alpacka Raft (アルパカラフト) やサニーエモーションでは、パドルを用途別に、オールパーパス、ホワイトウォーター、タンデムという3つにカテゴライズしている。

※3 PR3:サニーエモーションのパックラフティングツアーでは、TR&DR (トレーニング&ダウンリバー)、PR2、PR3、企画・遠征ツアーという4ステップがある。PR3は、岩、ドロップ (落ち込み)、蛇行などのテクニカルな要素がプラスされるツアーである。

※4 トロ場:川の流れが緩やかで、かつある程度の水深がある場所。

※5 ベントシャフト:シャフトにはストレートとベント、2種類のタイプがある。ベントは、シャフトが曲がっているタイプで、握りやすく、手首や腕への負担が少なく操作性に優れているのが特徴。

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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