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NIPPON TRAIL #07 【ギアレビュー・後編】 摩周・屈斜路トレイル + 釧路川 HIKING & PACKRAFTING

2020.11.20
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文・写真・構成:TRAILS

ハイキング & パックラフティング、さらにはキャンピングも交えた、NIPPON TRAILの第7弾「摩周・屈斜路トレイル + 釧路川」。

そのギアレビュー後編は、TRAILS編集部crewの佐井とカズが登場。

特に今回、TRAILSとして気にしていたのは、最大15℃という寒暖差 (過去統計から最低5℃、最高20℃と想定)。

寒暖差が大きいと厄介になのは、行動中などの気温が高いときに使うギア、ウェアと野営中などの低いときに使うギア、ウェアが、極端に片方の環境対策に振れやすい点だ。

寒さ対策を意識しすぎると行動中に不要なものが増え、逆もまたしかり。つまり片一方の環境に特化させすぎると、マルチで使うことができず荷物が増えやすい。これが寒暖差が大きいときの悩みである。

この前提条件があるなかで、佐井とカズはどんなギアを選んだのか。

夫婦ならではの共同装備はもちろん、これまでULスタイルで幾度となく旅をしてきた二人だけに、それぞれ個性あふれるギアのチョイス & レビューとなった。

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噴煙を上げる硫黄山 (アトサヌプリ) をバックに、つつじヶ原自然探勝路をハイキング。


今回のTRIP DATAとギア選びのコンセプト


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まず事前に、今回旅をする「弟子屈町」(てしかがちょう) の9月末と10月頭の気温データについて、気象庁のウェブサイトをチェックした。

過去のこの時期の最高・最低気温の平均を参照し、今回の日程での気温を、最低5℃、最高20℃と想定。寒暖差が大きく朝晩の冷え込みもある。これに対応できる装備が前提で、さえらにハイキングとパックラフティングを組み合わせたTRAILSらしいグルーヴ感あふれる旅でもあるため、下記3点をギア選びのテーマとした。

1. 最低気温5℃と最高気温20℃の寒暖差に対応できること
2. ハイキングにもパックラフティングにも使えるマルチユース性
3. ULを前提としつつ、できる限り旅をブーストしてくれるものであること


佐井のギア


<ハイキング>
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Clothing
[シャツ] MOUNTAIN HARDWEAR / Canyon Solid Long Sleeve Shirt, [ベースレイヤー] Duckworth / Vapor Tee, [パンツ] patagonia / Baggies Shorts 7, [レインジャケット] Frogg Toggs / Men’s Ultra-Lite2 Rain Jacket, [レインスカート] Ultralight Adventure Equipment (ULA) / Rain Kilt, [アンダーウェア] Duckworth / Men’s Vapor Brief, [ソックス] Point6 / Hiking Essential Light Mini, [キャップ] ALPACKA RAFT / Trucker Cap
Cooking
[ポット] Lotus / ALMIPOT (共同装備), [アルコールストーブ] T’s Stove / Tiショーティ (共同装備), [ウインドスクリーン] T’s Stove / サイドBのステンレス風防 (共同装備), [カトラリー] VIVAHDE / 山の器 大, ASAKLiTT / Flexi-Cup, PRIMUS / trail long spoon (共同装備), [行動食] TRAILS INNOVATION GARAGE / Make Your Own Mix
Others
[バックパック] Ultralight Adventure Equipment (ULA) / epic, [ドライバッグ] Mountain Laurel Designs (MLD) / DCF PACK LINERS (Large), [シューズ] ASTRAL / Brewer2.0, [浄水器] katadin / BeFree 0.6L

佐井:まず、寒暖差に対応しつつ荷物をUL化するためにマルチユースできるギア、ウェアをチョイスすることが大前提であり、今回の基本的なスタンスでもある。一方で、マルチユースの弱みは専門特化はしづらいということ。なので、今回はマルチユースを意識しすぎるあまりに特定の環境をガマンしすぎる状況にはなりたくないなと。ハイキングはハイキングらしく、パックラフトはパックラフトらしく、ちゃんと楽しみたい。さらに言うと旅感をブーストしてくれるなら多少の無駄は歓迎する。そう思って、いつも以上にカリカリのULにしすぎないようにした。

その前提で、ハイキングではわざわざシャツとレインウェアをチョイス。ULを徹底するならパックラフトでは使わないシャツは削っていた。ただ今回は旅のグルーヴ優先なのでシャツで歩くことにした。アメリカのハイキングが僕のオリジンでもあるので、根津さんもカズも言ってるけど機能的にも気分的にもやっぱりシャツがいい。

レインウェアに関しても、昨年の冬の『NIPPON TRAIL 北加伊道・クスリの道』では、ハイキングでもパックラフティングでもマルチユースできるKokatat / Gore-Tex Pulloverを選択したが、今回は自分が着たいレインウェアにした。着るものによって旅の高揚感は本当に変わるので、今回は僕の好きな「Frogg togs / Ultra-Lite2 Rain Jacket」(フロッグ・トグス / ウルトラライト2・レインジャケット) と、「Ultralight Adventure Equipment (ULA) / Rain Kilt」(ウルトラライト・アドベンチャー・イクイップメント / レインキルト) という定番の組み合わせ。

このレインジャケットは、ゴッサマーギアの創業者のグレンさんが2010年に初来日したときに着ていたもので、当時のULハイカーたちの中でちょっとした話題となった。これぞULという感じのペラペラ感と安っぽさ。スポーティーすぎず普段着のような感じの飾らない「アメリカのハイカースタイル」がやはり好き。もちろん機能的には必要十分。壊れては買い替えを続けて3着目。

アンダーウェアに関しては、汗冷えや消臭対策はもちろん、パックラフトで沈することを想定して、ウールの「Duckworth / Men’s Vapor Brief」(ダックワース / メンズ・ヴェイパー・ブリーフ)に。これは丈が長く、履くとわかるけど大腿部が暖かい。ほんとすごいと思う。あとは股擦れしにくいのもポイント。ただ、短めのショーツからは、はみ出やすいのでご注意を。

シューズは、いつもと同じで、以前のマイグッドギアの記事でも紹介したASTRALのBrewer。初代1.0が一番好きで未使用のストックもあるほどだが、今回は自分の中での小さな遊びとして、「ASTRAL / Brewer 2.0」(アストラル / ブリュワー2.0) 購入後未開封だった2.0をあえて試してみた。今回のトリップだけでは、大きな変更点である水抜けの違いは確かめられなかったが、ことハイキングに関しては、クッション性、ホールド感ともに優れていて1.0と比べてかなり性能アップしてるように感じた。これはへたりのない新品なだけの可能性もあるので、しばらくは継続して使ってみたいと思う。

ストーブとポットは、「T’s Stove / Tiショーティ」(ティーズストーブ / Tiショーティ)と「Lotus / ALMIPOT」(ロータス / アルミポット) のセット。道具で旅感を煽りたかったのが選んだ理由。特にこのコカコーラのデザインを残しているデザインが好き。いつも通りバディであるカズとの共同装備としてチョイスした。

最後にキャップに関して。脇役に見られがちだけど僕にとってはかなり重要なアイテム。この「ALPACKA RAFT / Trucker Cap」(アルパカラフト / トラッカー・キャップ) はハイキングにもフィットするし、パックラフティングにおいてもこの上からヘルメットを被ってもシンデレラフィット (※1) して、パドリング中にズレたりしないのがいい。僕のヘルメットとの相性はとにかく抜群。

これまでパタゴニアのダックビル・トラッカー・ハットが、ハイキングとパックラフトの旅ではマイベストだったけど、数年ぶりに自分の中でアップデートされた。昔からアメリカらしいトラッカーハットが好きで、なかでもツバがフラットなのが、ヘルメットを被った時にも開放的かつ視界のジャマにならないので気に入っている。

※1:シンデレラフィット:もともとアウトドアにおけるクッカーなどのスタッキング (収納) において、セット販売ではない別々のプロダクトがジャストフィットを超えるレベルで隙間なくぴったり収まった際に、シンデレラの靴になぞらえて使われていた。

<パックラフティング>
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Clothing
[ドライジャケット] patagonia / Splash Jacket, [ドライパンツ] Kokatat / Whirlpool bib w/ Relief Zipper and Socks (GORE-TEX), [ベースレイヤー] AKLIMA / Warmwool Grandad Shirt, [パンツ] patagonia / Baggies Shorts 7, [ソックス] Point6 / Hiking Essential Light Mini, [キャップ] ALPACKA RAFT / Trucker Cap
Packrafting
[ヘルメット] Hiko / raguna short, [PFD] ASTRAL / Green Jacket, [パックラフト] ALPACKA RAFT / Explorer42 (For 2), [パドル] Aqua-Bound / Shred Apart Carbon Paddle, [グローブ] Kokatat / Lightweight Glove, [スローロープ] MASTER WORKS / THROW BAG 15, [ドライバッグ] ALPACKA RAFT / Bow Bag (Expedition), [エアポンプ] FLEXTAILGEAR / MAX PUMP 2
Others
[シューズ] ASTRAL / Brewer2.0, [浄水器] KATADYN / BeFree 0.6L, [リペアキット] ALPACKA RAFT / Patch-N-Go Kit, Tyvek Tape, アロンアルファ [バンダナ] Appalachian Trail Bandana

佐井:パンツとジャケットが一体化しているドライスーツは嫌いじゃないし、ALPACKA RAFTのドライスーツは発売されてからすぐに買って長らくメインアイテムとして愛用していた。でも、スポーティすぎるという点だけがずっと気になっていて、以前からより旅感をそそるものを探していていた。

そこで去年の厳冬期における釧路川トリップでは、セパレートタイプをチョイスした。ただ、わかれていると沈したときにウエスト部分から水が侵入しやすいため、今回はその対策として、ビブタイプの「Kokatat / Whirlpool bib w/ Relief Zipper and Socks」(コーカタット / ワールプール・ビブ・ウィズ・ジッパーアンドソックス) を選んだ。

前回の釧路川からソックス付きを導入してかなり成功だったので今回もそのタイプを。Kokatatは比較的デザインがクラシックでシンプルなプロダクトも残っていて、旅感をそそるのがいい。

今回は、旅を終えてから渓流でテンカラもやりたいと思っていたので、密かに、このビブは釣りにおけるウェーダー (※2) のように使えるのでは?と考えていた。使っている人は見たことないけど、いろいろ調べたらカヤックフィッシングというカテゴリーが思った以上にしっかり存在していることもわかり、この旅で一番楽しみにしていた実験となった。

もともとは、KokatatのTempest Jacket (テンペストジャケット) というフード付きのドライジャケットと組み合わせることを前提に買ったビブだった。このセットだと、ウエスト部分を折り返すとドライスーツと近しい機能を発揮してくれるからだ。

ただ今回はタンデム艇Explorer 42が不慣れで安定感に不安もあり、釧路川源流部はストレーナーも多いので、沈する可能性が前回より高いと判断してフードはやめ、セミドライジャケットの「Patagonia / Splash Jacket」(パタゴニア / スプラッシュ・ジャケット) にした。ここら辺のビブのチョイスに関しては、パドルクエストの堀川さんにいろいろ教えてもらって、その情報をかなり参考にさせてもらった。

トップスをセミドライにしたこともあり、ベースレイヤーは厚手のウールを用いた「AKLIMA / Warmwool Grandad Shirt」にした。

グローブは、最近タンデム艇にハマっている竜太にシングルパドルをハンドリングする際に手が痛くならないと勧められて使ってみたが、今回は漕いだ距離が比較的短く緩いルートだったので体感までにはいたらずだった。今後も使い続けて検証してみたいと思う。

あらたに追加したシルバーのカラビナは、PFDも含めてここ最近はレスキューへの意識が高まっていることもあり見直したギア。今回選んだのは、レスキュージャパンでも取り扱っている「OMEGA / Standard Locking D Carabiner」(オメガ / スタンダード・ロッキングDカラビナ)で、アメリカのプロの消防隊員などからも信頼され、ロックを忘れなければ、最も安全で確実と言われるスクリューロック式で、ジャマにならないサイズ感、74gという軽さ、クローズゲート時で31kNという高い破断強度のバランスでチョイス。

※2:ウェーダー:釣りで使用する「胴長」。水に入っても濡れないように、腰や胸まで伸ばしたパンツのこと。

<キャンピング>
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Clothing
[インサレーション] Nunatak / Skaha Down Jacket, [アンダーウェア] Duckworth / Men’s Vapor Brief, [ビーニー] patagonia / Brodeo Beane, [ソックス] Integral Designs / Hotsox
Cooking
[焚き火台] Picogrill / 398, [ポット] Lotus / ALMIPOT, [アルコールストーブ] T’s Stove / Tiショーティ (共同装備), [ウインドスクリーン] T’s Stove / サイドBのステンレス風防 (共同装備), [カトラリー] VIVAHDE / 山の器 大, ASAKLiTT / Flexi-Cup, PRIMUS / trail long spoon (共同装備), SEA TO SUMMIT / Camp Cutlery Fork (共同装備)
Sleeping
[タープ] Zpacks / Hexamid Solo, [ビビィ] Mountain Laurel Designs (MLD) / Superlight Solo Bivy (DCF), [スリーピングバッグ] Nunatak / Super UL Nano Blanket
Others
[ペグ] VARGO / Titanium Ascent, [ポールの代用] Aqua-Bound / Shred Apart Carbon Paddle, [ストラップ] StrapGear / 12inch, [ヘッドライト] Milestone / MS-G1

佐井:重要視しているのは、焚き火をしているときと、眠るときの寒さを、いかに効率よく防ぐか。

今回のスリーピングバッグはブランケットとキルトタイプとして使える「Nunatak / Super UL Nano Blanket」 (ヌナタク / スーパーUL・ナノブランケット) をチョイス。

ヌナタクの中でもカリカリのULであるSULカテゴリーで380gで40°F (摂氏換算で5℃くらい) 仕様なので、クルーが今回持ってきている平均が20°F (摂氏換算で-6℃くらい) と比較すると、今回の気温だと心細いレベル。ただ、逆に厚手のダウンジャケット、冷えを感じやすいフットボックスまわりを補完して寝ることを想定し、トータルでは十分と考え実際に問題なくぐっすり眠ることができた。

旅におけるタンスに肥やし状態にならぬように、就寝時という単体でしか使用できないスリーピングバックのダウン量をいたずらにリッチにするのではなく、ウェアと組み合わせた際のトータルでの保温力で設計し、スリーピングバッグの温度帯などを最適化および荷物をUL化する上でとても有効な手段としてつづけていて、今回もそれを実践。

焚き火の際は、トップスに「Nunatak / Skaha Down Jacket」 (ヌナタク / スカハ・ダウン・ジャケット)、ボトムスに「Duckworth / Vapor 3/4 Legging」(ダックワース / ヴェイパー3/4レギング)、ソックスに「Integral Designs / Hotsox」(インテグラルデザインズ / ホットソックス)。ソックスをこれにしたのは、局所を暖かくすればこの気温に対応できると踏んだからだ。

シェルターは、雨への耐候性が多少悪くても圧倒的な軽さと開放感を重視したかったので、DCF (通称キューベン) で実測130gの「Zpacks / Hexamid Solo」 (ジーパックス / ヘキサミッド・ソロ) を選び、ボトムをDCF (通称キューベン) にアップグレードしよりUL化した同じく実測130gの「Mauntain Laurel Designs / Superlight Solo Bivy (DCF)」(マウンテン・ローレル・デザインズ / スーパーライト・ソロ・ビビィ) と組み合わせた。

先行してスルーハイキングをしていた根津さんから、回復傾向ではあるが天候がイマイチであることを聞いていたので、耐候性の補完として、最悪ビビィだけでも寝られるようにした。

焚き火台は、「Picogrill / 398」(ピコグリル / 398)。もともと編集部内で焚き火したいよねと話していて、4人で使用するのに、重量、サイズ、調理のしやすさのバランスが取れたものがこれだった。

調理機能を追求しすぎるとシンプルさが削がれて重くなる。今回はアルポットとフライパンを置ければ良かったので、それもポイントだった。またPicogrillは組み立ても簡単で、部品をなくす心配もない気楽さもいい。

焚き火台に合わせてトングを用意すると、余計なギアが増えてしまうので、ハイキングで使用したカトラリーで済ますべく、難燃性のグローブ「mont-bell / Nomex」(モンベル / ノメックス) を片手だけ持参した。


カズのギア


<ハイキング>
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Clothing
[シャツ] MOUNTAIN HARDWEAR / Big Cottonwood Long Sleeve Shirt, [ベースレイヤー] Duckworth / Vapor Tee, [パンツ] TORAYA Equipment / 365 jump, [レインジャケット] Zpacks / Challenger Rain Jacket, [レインスカート] Ultralight Adventure Equipment (ULA) / Rain Kilt, [ソックス] Point6 / ST Light Crew, [キャップ] ALPACKA RAFT / Trucker Cap
Cooking
[カトラリー] VIVAHDE / 山の器 小, ASAKLiTT / Flexi-Cup, [行動食] TRAILS INNOVATION GARAGE / Make Your Own Mix
Others
[バックパック] Six Moon Designs / Swift Pack, [ドライバッグ] Mountain Laurel Designs (MLD) / DCF DRY BAGS, Hariyama Productions / oinari, [シューズ] ASTRAL / Porter, [サングラス] FLOAT / Urban Galaxy Polarized RIGEL Mat Black, MASTER WORKS / GLASS CASE [日焼け止め] 皮膚科のもの, [トイレキット] MIZO / MOG, 絆創膏, 抗生物質, トイレットペーパー

カズ:まず今回は、長袖シャツを着たかった。これまでベースレイヤーにウインドシェルが多かったけど、もっとロング・ディスタンス・ハイキングのノリで旅したいと思って。アメリカのハイカーってシャツ & 短パンのイメージがあって、その感じ。

選んだのは「MOUNTAIN HARDWEAR / Big Cottonwood Long Sleeve Shirt」(マウンテン・ハードウェア / ビッグ・コットンウッド・ロングスリーブシャツ)。デザインが良かった。最近はやりの街着としても使えるスタイリッシュな感じじゃなくて、この荒っぽい感じというか。ゆったりめに着たかったので、メンズのSサイズをチョイス。袖をロールアップして温度調整をしたり、襟を立てて日除けをしたり。

あとシャツの場合は、ポケットが便利だと聞いていたので、実際に、行動食や小物を入れたりして活用した。

パンツは、「TORAYA Equipment / 365 jump」(トラヤ・イクィップメント / 365ジャンプ)。TORAYAのパンツは初期モデルから使用していて、ウエスト部分のサイズ調整が大胆にできるので、妊娠中から産後のサイズ変化に対応可能なので長期に渡ってヘビーユースしているアイテムだ。また、大きめのポケットに何も考えずになんでも突っ込めて旅には欠かせない。

ちなみに、このパンツはウエストを折り返す仕様なので、トップスがタイトめだとお腹まわりがごわつくんだけど、メンズシャツだとそれが隠せるので、この組み合わせはかなり良かったと思う。

シューズは、「ASTRAL / Porter」(アストラル / ポーター)。同ブランドのBrewer2.0も持っているけど、パンツとのコーディネートを考えたときにPorterだなと。足首まわりが浅めなので安定感はBrewer2.0のほうが優れているけど、一方で、Porterはシューレースがかかとの上部まで延長されていて、絞ることができる。厚手のソックスを合わせたのもあって、フィット感も高く、うまく履きこなせたと思う。

レインウェアは、ニュージーランドのパックラフト & ハイキングのトリップでも活躍してくれた、「Zpacks / Challenger Rain Jacket」(ジーパックス / チャレンジャー・レイン・ジャケット) と「Ultralight Adventure Equipment (ULA) / Rain Kilt」(ウルトラライト・アドベンチャー・イクイップメント / レインキルト) の組み合わせ。

ULAのレインスカートは、足さばきもいいし、換気性も高く、小雨程度のときにすごく便利。グリーンのカラーリングもレアでお気に入りのアイテム。

バックパックは、もともとフロントに大きなメッシュポケットがついているものが好きで、今回は「Six Moon Designs / Swift Pack」(シックス・ムーン・デザインズ / スウィフト・パック) にした。この本体に使用されているダイニーマ素材は、軽量ながらかなり強度が高く、雑に扱ってもなんの心配もないのがすごくありがたい。

ただメンズサイズだったこともあって、背面長のトルソーの長さと、チェストストラップの位置がフィットしなかったので、そこは今後、要検討かなと。歩く距離が長くなればなるほど、背負う荷物が多くなればなるほど、ちょっとしたことがストレスになることを実感した。あと、あらためて個人的にスタビライザーがあるのが好きなことを再確認した。

そして旅における私のマストアイテムとして欠かせないのが、日焼け止め。愛用しているのは、皮膚科で取り扱っているもので、低刺激で肌に優しいのが特徴。長時間使っても肌荒れしないのがいい。

今回のように9月末ともなると、真夏と違って陽射しも強くないし日焼け止めなしでも大丈夫と思いがち。でも、こういうときに想定以上の日焼けをして皮膚科に駆け込む人多いもの。特にこういうロングトリップの場合は、気を緩めずちゃんと塗ることが大事。

日焼け対策としてもう1つ持っていったのが、「FLOAT / Urban Galaxy Polarized Astra Black」。ハイキングでFLOATのサングラスを使うのは初めてだったけど、かけごこちがよく肌に馴染む印象で、長時間でもストレスを感じなかった。今回は、パックラフティングをすることもあって、偏光レンズを選んだ。

<パックラフティング>
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Clothing
[ドライジャケット] Nemo Dry Top, [ドライパンツ] Kokatat / Hydrus 3L Tempest Pant, [ベースレイヤー] AKLIMA / Warmwool Grandad Shirt, [パンツ] TORAYA Equipment / 365 jump, [ソックス] Point6 / ST Light Crew, [キャップ] ALPACKA RAFT / Trucker Cap
Packrafting
[ヘルメット] SHRED READY / Shaggy, [PFD] ASTRAL / Green Jacket, [パドル] Aqua-Bound / Shred Apart Carbon Paddle, [グローブ] Kokatat / Lightweight Glove, [スローロープ] NORTH WATER / Regulation Throw Line, [ドライバッグ] ALPACKA RAFT / Bow Bag (Expedition), Mountain Laurel Designs (MLD) / DCF PACK LINERS (Large)
Others
[シューズ] ASTRAL / Brewer2.0, [サングラス] FLOAT / Urban Galaxy Polarized Astra Black, MASTER WORKS / GLASS CASE, [日焼け止め] 皮膚科のもの

カズ:極力、着替えないことを意識したウェアリングを考えた。ドライジャケット & パンツに関しては、スポーティになりすぎず、ハイキングの延長で楽しむことを考えて、「Lotus Designs / Nemo Dry Top」(ロータス・デザインズ / ニーモ・ドライ・トップ) と「Kokatat / Hydrus 3L Tempest Pant」(コーカタット・ハイドラス3Lテンペスト・パンツ) にした。

このジャケットはLotusの昔のモデルだけど、劣化しやすい首まわりは新しいものに交換済みで、防水機能を高める処理も実行済み。なによりこのクラシックなカラーリングが好み。

パンツは、昨年の厳冬期の釧路川で、ソックス付きのものが便利だったので、今回も同じスタイルのものにした。ただ、ハイキングの格好の上から着ることを想定して、ワンサイズ大きめにした。そのため、やや丈が長かったけど、ソックスの上部にベルクロがあって、ここで長さ調整できるので問題はなかった。

沈することも想定して、インナーを厚手ウールの「AKLIMA / Warmwool Grandad Shirt」(アクリマ / ウォームウール・グランダッド・シャツ) にした。今までおもにibexを使っていたけど、首まわりが広くあいてるのが気になっていて、これに変更してみた。

今回はタンデム艇ということで、慣れないシングルパドルを使用するため、「Kokatat / Lightweight Glove」(コーカタット / ライトウェイト・グローブ) を使うことにした。目的としては、ちゃんとパドルを握れるようにすることと、寒さ対策。おかげで、ちゃんと漕ぐことができたと思う。

PFDは、これまでシンプルなKokatatのOrbit Tour (オービット・ツアー) を使っていたけど、今回はより安全面を考えて、レスキューモデルの「ASTRAL / Green Jacket」(アストラル / グリーンジャケット) にした。機能面はもちろんだけど、カラーリングと背面にある大きなロータス (蓮) マークにグッときた。がっつり使ってみて感じたのは、サイドの保護力のすごさ。脇腹を包み込む感じがすごく安心感があって良かった。

<キャンピング>
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Clothing
[インサレーション (トップス)] Nunatak / Skaha Down Jacket, [インサレーション (ボトムス)] Nunatak / Kobuk Down Pants/Knickers, [ハット] Otopukeknit / beige wool knitfelt hat, [ソックス] Feathered Friends / Down Booties
Cooking
[カトラリー] VIVAHDE / 山の器 中, ASAKLiTT / Flexi-Cup
Sleeping
[タープ] Hammock Gear / The Traverse (10×8), [ハンモック] Hammock Gear / Standard Hammock, Mesh Peak Pocket, Ridgeline Organizer, [ビビィ] As Tucas / Millaris Bivy Sack, [スリーピングバッグ] Hammock Gear / Economy Phoenix Custom
Others
[ハンモックテーブル] Schwarze Biene Outdoor/ Der Shorty & woody adapter, [ヘッドライト] Milestone / MS-G1

カズ:スリーピングギアに関しては、ハンモック、タープ、アンダーキルト、すべてHammock Gear (ハンモックギア) で統一した。このブランドは、その名のとおりハンモック1本で勝負しているメーカーで、潔くてかっこいい。私は寒いのだけは嫌なので、アンダーキルトも20°F (摂氏換算 −6℃くらい) 仕様。ウェア込みで組み合わせた時に、みんなより低め温度域でも大丈夫なギアを選んだ。

ダウンパンツはみんな省いていたけど、今回はハンモック泊だし、通常のテント泊よりも冷えを感じるだろうと思い、Nunatak (ヌナタク) のものを持ってきた。さらにプラスで「Feathered Friends / Down Booties」 (フェザードフレンズ / ダウンブーティー) というダウンブーツも。ちょっと暑さを感じるかもとは思ったけど、実際、特に朝方あたりはちょうど良かった。

このダウンブーツは、10年前くらいのモデル。当時カラーが選べなくて届いてみないとわからなかったんだけど、そのドキドキ感が良かった。ダウンジャケットの余った素材を使用しているらしく、そのスタンスやテイストもいい。

さらに防寒対策として期待していたのが、「Otopukeknit / beige wool knitfelt hat」(オトプケニット / ウール・ニットフェルト・ハット)。せっかく北海道を旅するのだから、ゆかりのあるオトプケニットを使いたかった。

これまで化繊のキャップをかぶることが多かったので、今回、羊毛の素晴らしさに驚いた。一般的なニット帽の編み方に比べて、羊毛の密度があって、すごく暖かい。しかも、羊毛特有なのか、自分の体温で徐々にじんわり暖かくなっていくのが、その過程も含めてすごく楽しかった。この良さをぜひみんなに味わって欲しい。

また今回の旅で初投入したのが「Schwarze Biene Outdoor/ Der Shorty & woody adapter」 (シュヴァルツェ・ビーネ・アウトドア / ザ・ショーティ & ウッディ・アダプター) という、ドイツ製のハンモックテーブル。購入後、サイトオーナーの人に「どのようにして見つけたの?」と驚かれた。ぶっちゃけ流行らないだろうけど、この無駄な感じというか、ハンモックにしか使えないのがいい。

木の枝を用いて地面に立てる仕様なんだけど、なかなかちょうどいい木が見つからないのが難点かな。でも、その手間も含めて楽しいキャンピングのひと時を味わうことができた。

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軽量性や合理性は考慮しつつも、いかに旅を楽しむか? が今回のテーマでもあった。

そのため「それを持っていかなければもっと軽量化できたのに」というギアも、いくつかあった。

でもそんな一見無駄に思えるようなアイテムのおかげで、この旅がより濃密なものになり、さらにTRAILS編集部crew4人ならではのグルーヴ感も生まれたのだと思う。

トリップの詳細や雰囲気は、すでに掲載した「前編」「後編」そして「MOVIE」で体感していただけるはずなので、ぜひチェックしてみてください。

次回は、このNIPPON TRAILの第7弾「摩周・屈斜路トレイル + 釧路川」の番外編として、旅を終えてからのちょっとしたエピソードを紹介します。

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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