TRAILS REPORT

TRAIL FOOD #05 | ULハイキング × トレイルフード by 櫻井史彦

2023.08.04
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話・写真:櫻井史彦 構成:TRAILS

What’s TRAIL FOOD? | 「トレイルで、実際みんな何を食べているの?」。みんなのリアルなTRAIL FOOD (トレイルフード) が知りたくて立ち上げた、トレイルフードを紹介する記事シリーズ。ULハイキングをはじめ、ロング・ディスタンス・ハイキング、パックラフティング、さらにはフライフィッシングやテンカラなど、それぞれの遊びに没頭している人たちに、普段どんなトレイルフードを食べているかを紹介してもらう。トレイル上のリアルに触れることが、きっと新たな気づきや刺激になるはずだ。

* * *

ここに登場するのは、世の中でよく紹介されるような「山でこんなに美味しいものが食べられる!」というフードがかならずしもメインではない。それぞれの遊び方やスタイルのなかで、時には質素に見えるかもしれないが、みんなが実際に食べているリアルなトレイルフードだ。

そこには、旅を楽しむための大事なエッセンスや、アクティビティをする上での実践的なTIPSが詰め込まれているはず。そんなリアルなトレイルフードが知りたくて、この連載記事を立ち上げた。

第5回目の今回は、「パックラフト・アディクト」(詳しくはコチラ) ではパックラフターとしてもおなじみだが、もともとギアホリックなULハイカーでもある、バダさんこと櫻井史彦 (さくらい ふみひこ) さんだ。

ULハイキング × トレイルフード


今回は、ベジタリアンでもあるバダさんが、ULハイキングにおけるトレイルフードを紹介してくれる。

今回、紹介してくれるのは、バダさんこと櫻井史彦 (さくらい ふみひこ) さん。バダさんは、2010年頃からULハイキングを実践しつづけているULハイカーだ。鳥見好きとしても知られていて、hikerbirderというSNSアカウント名から、バダさんの愛称で親しまれている。

また、仲間のあいだでギアホリックとしても知られており、ULギアをはじめ面白いモノを見つけると、すぐに試したくなる海外通販マニアでもある。

ベジタリアン (以下、ベジ) という一面も持っているバダさんは、実際のところ、ULハイキングで何を食べているのだろう? 下記2つの視点で紹介してもらった。

・「食べる頻度の高い」トレイルフードベスト3
・「記憶に残る」トレイルフード

第1位:マッシュポテト増し増しポタージュ


材料は、クノールのきのこのポタージュ、マッシュポテト、フリーズドライのオクラ。

■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント

疲れていても目分量で簡単に作れるのがポイント。ロング・ディスタンス・ハイカー御用達のマッシュポテトを、どうにか美味しく食べるために考えた。

マッシュポテトを主体にして美味しく食べるのは難しいけれど、スープにマッシュポテトを投入する順序で作ると美味しくなるし、腹も膨らむ。フリーズドライのオクラは、『LONG DISTANCE HIKERS DAY』(※1) に登壇していたハイカーに教わった。生野菜が手に入らないときに活用すると便利だし、軽量化にもなる。

クノールのカップスープとマッシュポテトは粉状、そしてオクラはフリーズドライと、材料すべてが超軽量でありながら、美味しく、お腹も満たされるので、僕の中では定番フード。

ちなみに、こういう粘度の高い食事のときは、シリコン製のスパチュラ (へら) を使って食べると鍋が綺麗になる。無印良品のミニサイズがオススメ。

■ 作り方

スープの規定量より多めに湯を沸かし、オクラを投入する。次にスープ1袋を入れてかき混ぜたあと、マッシュポテトを好きなだけ足していく。隠し味としてブラックソルトをひとつまみ入れると、さらに美味しくなる。

※1 LONG DISTANCE HIKERS DAY:日本のロング・ディスタンス・ハイキングのカルチャーを、ハイカー自らの手でつくっていく。そんな思いで2016年にTRAILSとHighland Designsで立ち上げたイベント。2023年4月に7回目を開催。

第2位:ベジタリアンのさつま揚げ


材料は、さつま揚げ風のパテのみ。軽く火を通すだけで美味しく食べられるので、燃料も節約できる。

■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント

台湾素食 (たいわんそしょく・オリエンタルベジタリアンのこと) の食材を使って手軽に作れるベジご飯。これは、さつま揚げ風のパテとして市販されているもの。さつま揚げとは言っても、魚肉のすり身を練った一般的なものではない。ベジなので、主原料は豆である。

これに限らず言えることだが、動物性の油分を使わない食材はベタつかないので、調理後の後片付けを簡易に済ませられるし、紙ゴミも減らせる。

そのまま食べても美味しいくらいなので、強い火力は必要ない。僕のお気に入りの調理器具は、ゴッサマーギアのカルデラコーン。逆さまにすると、ミニトラ (ミニトランギア) のフライパンを置く五徳としてちょうど良く使える。

■ 作り方

さつま揚げに軽く火を通すだけで、すぐに食べられる。トルティーヤに包んでも美味しい。

第3位:うめと茸のパスタ


シーズコアのパスタキットのシリーズの中でも、「うめと茸のパスタ」がお気に入り。

■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント

このパスタキットは数種類あるが、僕のオススメはうめと茸 (99g)。梅肉のすっぱ味がさっぱりとして、疲れていても食べやすい。

このキットは、パスタを湯切りせず、お湯を捨てずに煮詰めて調理するのが特徴のひとつ。だから、ほどよい水加減を理解するのにも役立つ。水の量は好みもあるが、メーカー推奨は250ml。キット自体は袋麺 (即席めん) 1袋とほぼ同重量ながら、水の量は袋麺の約半分で済むのも良い。

作り方に慣れたら自分なりに具材を選んで、オリジナルのキットを調合するのも楽しそうだ。

■ 作り方

クッカーに水を入れて、そこにすべての食材を投入して火にかける。沸騰したら中火で5分。最後に強火で水気を飛ばす。

記憶に残るトレイルフード:レタス入りスープ


採れたてのレタスの旨みが詰まったスープは、疲れたカラダに沁み渡った。

■ 記憶に残る理由とお気に入りのポイント

長野県にある「あまとみトレイル」(詳しくはコチラ) をハイキング中、農産物直売所にてキュウリを買ったら、ご好意でレタスをいただいた。ロングトレイルでおなじみのトレイルマジック (※2) といったところだ。

レタスまるまる1個はさすが多かったけど、悪くなる前になんとか食べ切りたい。そこで、熱を入れたらたくさん食べられると思い、スープに入れてみたのだ。

熱し過ぎずシャキシャキ感を残して食べたら、とても美味しかった。地元の食材を地元のトレイル上で味わうのは良いものだなと、実感した出来事でもあった。

■ 作り方

スープにレタスを入れて、お好みの固さになったタイミングでできあがり。

※2 トレイルマジック:トレイルエンジェルなどのハイカーをサポートしてくれるボランティアの人が、ハイカーのために用意してくれる食料や飲み物のこと。


使用頻度の高いゴッサマーギアのカルデラコーン。上記第2位のトレイルフードでは逆さにしたが、これが本来の使い方。

ULハイカーでありベジタリアンであるバダさんのトレイルフードは、多くのハイカーが興味をもつ内容だったのではないだろうか。

フリーズドライや水の重量を減らせる、ULなベジタリアンフードは、ベジタリアンでない人も参考にしたい内容であった。

そして、動物性の油分を使っていない食材は、余計なゴミ (たとえば油分を拭き取るための紙など) も出づらい、というのもULの観点として興味深かった。

また次回の『トレイルフード』もお楽しみに!

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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