TRAIL FOOD #05 | ULハイキング × トレイルフード by 櫻井史彦
話・写真:櫻井史彦 構成:TRAILS
What’s TRAIL FOOD? | 「トレイルで、実際みんな何を食べているの?」。みんなのリアルなTRAIL FOOD (トレイルフード) が知りたくて立ち上げた、トレイルフードを紹介する記事シリーズ。ULハイキングをはじめ、ロング・ディスタンス・ハイキング、パックラフティング、さらにはフライフィッシングやテンカラなど、それぞれの遊びに没頭している人たちに、普段どんなトレイルフードを食べているかを紹介してもらう。トレイル上のリアルに触れることが、きっと新たな気づきや刺激になるはずだ。
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ここに登場するのは、世の中でよく紹介されるような「山でこんなに美味しいものが食べられる!」というフードがかならずしもメインではない。それぞれの遊び方やスタイルのなかで、時には質素に見えるかもしれないが、みんなが実際に食べているリアルなトレイルフードだ。
そこには、旅を楽しむための大事なエッセンスや、アクティビティをする上での実践的なTIPSが詰め込まれているはず。そんなリアルなトレイルフードが知りたくて、この連載記事を立ち上げた。
第5回目の今回は、「パックラフト・アディクト」(詳しくはコチラ) ではパックラフターとしてもおなじみだが、もともとギアホリックなULハイカーでもある、バダさんこと櫻井史彦 (さくらい ふみひこ) さんだ。
ULハイキング × トレイルフード
今回、紹介してくれるのは、バダさんこと櫻井史彦 (さくらい ふみひこ) さん。バダさんは、2010年頃からULハイキングを実践しつづけているULハイカーだ。鳥見好きとしても知られていて、hikerbirderというSNSアカウント名から、バダさんの愛称で親しまれている。
また、仲間のあいだでギアホリックとしても知られており、ULギアをはじめ面白いモノを見つけると、すぐに試したくなる海外通販マニアでもある。
ベジタリアン (以下、ベジ) という一面も持っているバダさんは、実際のところ、ULハイキングで何を食べているのだろう? 下記2つの視点で紹介してもらった。
・「食べる頻度の高い」トレイルフードベスト3
・「記憶に残る」トレイルフード
第1位:マッシュポテト増し増しポタージュ
■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント
疲れていても目分量で簡単に作れるのがポイント。ロング・ディスタンス・ハイカー御用達のマッシュポテトを、どうにか美味しく食べるために考えた。
マッシュポテトを主体にして美味しく食べるのは難しいけれど、スープにマッシュポテトを投入する順序で作ると美味しくなるし、腹も膨らむ。フリーズドライのオクラは、『LONG DISTANCE HIKERS DAY』(※1) に登壇していたハイカーに教わった。生野菜が手に入らないときに活用すると便利だし、軽量化にもなる。
クノールのカップスープとマッシュポテトは粉状、そしてオクラはフリーズドライと、材料すべてが超軽量でありながら、美味しく、お腹も満たされるので、僕の中では定番フード。
ちなみに、こういう粘度の高い食事のときは、シリコン製のスパチュラ (へら) を使って食べると鍋が綺麗になる。無印良品のミニサイズがオススメ。
■ 作り方
スープの規定量より多めに湯を沸かし、オクラを投入する。次にスープ1袋を入れてかき混ぜたあと、マッシュポテトを好きなだけ足していく。隠し味としてブラックソルトをひとつまみ入れると、さらに美味しくなる。
第2位:ベジタリアンのさつま揚げ
■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント
台湾素食 (たいわんそしょく・オリエンタルベジタリアンのこと) の食材を使って手軽に作れるベジご飯。これは、さつま揚げ風のパテとして市販されているもの。さつま揚げとは言っても、魚肉のすり身を練った一般的なものではない。ベジなので、主原料は豆である。
これに限らず言えることだが、動物性の油分を使わない食材はベタつかないので、調理後の後片付けを簡易に済ませられるし、紙ゴミも減らせる。
そのまま食べても美味しいくらいなので、強い火力は必要ない。僕のお気に入りの調理器具は、ゴッサマーギアのカルデラコーン。逆さまにすると、ミニトラ (ミニトランギア) のフライパンを置く五徳としてちょうど良く使える。
■ 作り方
さつま揚げに軽く火を通すだけで、すぐに食べられる。トルティーヤに包んでも美味しい。
第3位:うめと茸のパスタ
■ 頻度が高い理由とお気に入りのポイント
このパスタキットは数種類あるが、僕のオススメはうめと茸 (99g)。梅肉のすっぱ味がさっぱりとして、疲れていても食べやすい。
このキットは、パスタを湯切りせず、お湯を捨てずに煮詰めて調理するのが特徴のひとつ。だから、ほどよい水加減を理解するのにも役立つ。水の量は好みもあるが、メーカー推奨は250ml。キット自体は袋麺 (即席めん) 1袋とほぼ同重量ながら、水の量は袋麺の約半分で済むのも良い。
作り方に慣れたら自分なりに具材を選んで、オリジナルのキットを調合するのも楽しそうだ。
■ 作り方
クッカーに水を入れて、そこにすべての食材を投入して火にかける。沸騰したら中火で5分。最後に強火で水気を飛ばす。
記憶に残るトレイルフード:レタス入りスープ
■ 記憶に残る理由とお気に入りのポイント
長野県にある「あまとみトレイル」(詳しくはコチラ) をハイキング中、農産物直売所にてキュウリを買ったら、ご好意でレタスをいただいた。ロングトレイルでおなじみのトレイルマジック (※2) といったところだ。
レタスまるまる1個はさすが多かったけど、悪くなる前になんとか食べ切りたい。そこで、熱を入れたらたくさん食べられると思い、スープに入れてみたのだ。
熱し過ぎずシャキシャキ感を残して食べたら、とても美味しかった。地元の食材を地元のトレイル上で味わうのは良いものだなと、実感した出来事でもあった。
■ 作り方
スープにレタスを入れて、お好みの固さになったタイミングでできあがり。
ULハイカーでありベジタリアンであるバダさんのトレイルフードは、多くのハイカーが興味をもつ内容だったのではないだろうか。
フリーズドライや水の重量を減らせる、ULなベジタリアンフードは、ベジタリアンでない人も参考にしたい内容であった。
そして、動物性の油分を使っていない食材は、余計なゴミ (たとえば油分を拭き取るための紙など) も出づらい、というのもULの観点として興味深かった。
また次回の『トレイルフード』もお楽しみに!
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