開発ストーリー #03 | 『肩荷重 × 最軽量』必要十分の極限まで削ぎ落としたアグレッシブなULバックパック
既存の常識にとらわれない自由で大胆な設計思想、g単位で理に適う最軽量な素材を探しアグレッシブに採用する実験的アプローチ。クレイジーな失敗作にも寛容なウルトラライト黎明期のアティテュードは、革新的かつ普遍的な名品を生み出してきた。
そして、極限を探求したこれらのプロダクトたちは、ハイカーにトレイルライフにおける知恵の習得さえ求め、ハイカーの知識・スキル向上を後押ししてきた。
TRAILSは『Simple × Classic × Super Ultralight』をコンセプトにしたプロダクト「ULTRALIGHT CLASSICシリーズ」をスタートする。
TRAILSはメーカーではない。このシリーズを通じて、僕たちが熱狂した実験的でイノベーティブなULカルチャー再燃のきっかけをつくり出せたらと思う。
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今回リリースするULバックパック『LONG DISTANCE HIKER』『ULTRALIGHT HIKER』および「ULTRALIGHT CLASSICシリーズ」が誕生するまでの開発ストーリー (全6回) 。
予約販売開始までに公開する第1弾 (#1〜#3) の第3回目となる今回は、肩荷重 × 最軽量を追求した『ULTRALIGHT HIKER』の製品コンセプトおよび特徴を紹介する。
コンセプト:肩荷重 × 最軽量
目指したのは、「肩」荷重モデル、同サイズ (容量) 最軽量クラス。そして必要十分の極限をg単位で削ぎ落とした、ファンクショナル・ビューティーと言えるほどにシンプルな構造や新たな素材を実験的に採用する、アグレッシブなULバックパック。
サンプリングしたのは2000年代初期のUL黎明期における超軽量バックパック。当時の、常識にとらわれずクレイジーなまでに極限の軽さに固執するアティテュードは、革新的なマテリアルの採用や構造の発明にとどまらず、ハイカーに新しい知恵 (知識・スキル) の習得すらもたらした。
今では当たり前のフレームレスバックパックも、当時は非常識と思われるほどだった。しかしそれは、必要十分とは何かをゼロベースで考えなおし、大胆すぎる引き算の発想を取り入れたイノベーティブなデザインだった。そして、クローズドセルマットをフレーム代わりにマルチユースする、という知恵をハイカーに与えてくれた。
また当時衝撃を受けたのは、ヨットのセイルなどに使われていた、ゴミ袋とも揶揄されたりしたキューベンファイバー (現DCF) という見たこともない異素材をバックパックに採用したこと。軽量化において合理的であれば、前例がなくともアグレッシブに採用するこの実験的アプローチは、ハイカーがMYOGする際のUL化の知恵としても定着していった。
ULバックパックを通じて、ハイカーは自らのスタイルを進化させ、自然との新たな付き合い方、ハイキングの新たな楽しみ方を体得していったのだ。今回実現しようとしたのは、こういったULのアティテュードや意義を現代的に再解釈、アップデートしたULバックパックである。
そして今回、大前提として設定したのは、容量30Lで重量200g台を実現することだった。
TRAILSがベンチマークした海外ULバックパックメーカー (Gossamer Gear、MLD、HMG、Pa’lante、Zpacks) が展開する、数泊のULハイキングに対応する、軽くて必要十分な丈夫さを持つ30L前後のULバックパック。それらを比較したところ、唯一Zpacksだけが200g台を叩き出していたのだ。こうしてULTRALIGHT HIKERは200g台を目指し設計を進めていった。
もうひとつ達成したかったのが、200g台でありながら可能な限り快適な背負い心地を実現してくれるショルダーハーネスの開発だった。形状、幅、厚み、硬さをそれこそミリ単位でトライ&エラーを繰り返した。本体底部との接続部分には、実験的ともいえるネイルペグを収納するスリーブを搭載。これが擬似フレームとなって追従性が向上し、背中全体への荷重分散を実現させた。
またバッックパックのデザインに関しては、現代トレンドとも言えるFKTへの最適化ではなく、あくまでULバックパック黎明期のクラシックなスタイルの進化系を目指した。その上で、本体ボディには超軽量であることにくわえ、DCF Hybridよりもさらに強度が高い最先端ファブリック「ULTRA200」を採用した。
こうして、ULハイカーを新しい世界へ誘うきっかけとなるアグレッシブなULバックパック『ULTRALIGHT HIKER』が誕生した。
スペック
重量
268g
容量
30L (本体+ポケット)
素材
ULTRA200 (本体)、ULTRA STRETCH (フロントストレッチポケット、サイドストレッチポケット)
製造
MADE IN JAPAN
フィーチャー①:削ぎ落とし × 最先端素材
削ぎ落としたデザイン
容量30Lで重量200g台を実現した、必要十分の極限をg単位で削ぎ落とした、シンプルでファンクショナル・ビューティーな構造。
フレームレスバックパック
バックパックの軽量化手法として有効なクラシックなフレームレス構造を採用。クローズドセルマットをフレームの代用として巻くことで剛性が高まる。
スターナムストラップ
ドローコードとフックのみの、シンプルで超軽量なストラップ。ベースウェイトが軽量化されることを前提にした、大胆に最小化した仕様。
12mmテープ&プラパーツ
テープ類はULバックパックで主流な20mmではなく極細の12mm幅で統一。プラパーツも極限まで小さく、少なくして軽量化を図った。
ファブリック
メインのファブリックは『ULTRA200』。DCFハイブリッド (2.92 oz/yd²・HMGのWINDRIDER40 ホワイトなどで採用) と比べると、引裂強度は3倍、耐摩耗性は7倍超を有する、超軽量かつ強度と耐久性と防水性を兼ね備えた生地 (3.5 oz/yd²)。
フィーチャー②:機構の実験的アプローチ
ネイルペグフレーム
内側のボトム部分 (背面側) にネイルペグの収納スリーブを搭載。擬似フレームとなり追従性が向上。ペグはシェルター設営時の予備ペグにもなる。
背面パッドスリーブ
エアマットを使用する人向けの背面パッド収納スリーブ。荷物の出し入れを邪魔しない構造でありながら、生地面積を削減したひし形状で4gの軽量化。
ショルダーハーネス
肩荷重で快適な背負い心地を実現するため、形状、幅、厚み、硬さをミリ単位でトライ&エラーを繰り返し、極限までこだわったショルダーハーネス。
フィーチャー③:シンプルで拡張性の高い収納
ポケット&トップクロージャーベルト
見た目はシンプルながらも拡張性に優れ、フロント、サイド、トップに、かなり多くの荷物を収納することができる。
フロントストレッチポケット
伸縮性と耐久性に優れたULTRA STRETCHを採用したストレッチポケット。フロント全面に配した大容量で、さまざまなギアを手早く収納できる。
サイドストレッチポケット
伸縮性と耐久性に優れたULTRA STRETCHを採用したストレッチポケット。レインウェアや浄水器、inReachなど、出し入れが多いギアの収納に便利。
サイドコンプレッションコード
バンジーコードを用いたコンプレッション機能。必要最小限のホールド性を追求し、シンプルなV字型を採用。シンプルゆえに出し入れもしやすい。
エクステンションカラー (吹き流し)
バックパック本体上部には、十分なエクステンションカラー (吹き流し) を設けることで、荷物が増えても問題なく収納することができる。
トップクロージャーベルト
トップ部分にあるストラップは、1本締めではなくあえてY字を採用。これによって、マットはもちろんベアキャニスターもしっかり固定できる。
アクセサリー (オプション)
ボトルホルダー
500ml〜1Lまで対応できるボトルホルダー。生地にULTRA STRETCH採用しているため、伸縮性と耐久性に優れ、さまざまな形状のものを収納可能。
アンブレラホルダー
手の自由度を妨げないアンブレラホルダー。2つのパーツをショルダーハーネスのデイジーチェーンに取り付けることで、傘を簡単に固定できる。
アイスアックスループ
ガイラインとコードロックで構成されたシンプルな仕様で、アイスアックスのシャフトとヘッドの2箇所をしっかり固定。着脱も容易。
着脱式ウエストベルト
シーンに応じてカスタムできる、25mmのテープとバックルで構成されたベルト。腰荷重のためではなく、バックパックのブレを防ぐためのアイテム。
販売方法について
販売方法
予約販売 (先着順)
※予定販売数を超えた際には、予約受付を終了する場合もあります。
予約販売開始
2023年9月4日 (月) 12:00
※製品ページを公開しますので、詳細をお読みいただいた上でお申し込みください。
製品サンプル展示
9月2日 (土)・3日 (日) は、TRAILS INNOVATION GARAGEにて、『LONG DISTANCE HIKER』『ULTRALIGHT HIKER』の製品サンプルの展示を実施。実物を見たい方はぜひお越しください。(展示時間は12:00-19:00)
<️開発ストーリー 第1弾>
LONG DISTANCE HIKER と ULTRALIGHT HIKER
#01 | 腰荷重と肩荷重の2モデルで最軽量のULバックパックを作りたい
#02 | 『腰荷重 × 最軽量』快適性と軽さを追求したスタンダードなULバックパックを開発した
#03 | 『肩荷重 × 最軽量』必要十分の極限を求めたアグレッシブなULバックパックを開発した<️️開発ストーリー 第2弾>
“ULTRALIGHT CLASSIC” Seriesが誕生するまで
#04 | UL黎明期のバックパックの実験的なデザイン思想にインスパイアされた『Simple × Classic × Super Ultralight』
#05 | Hariyama Productionsをプロトタイプビルダーとしてプロジェクトに迎えたわけ
#06 | プロトタイピングとテストを繰り返して探った快適さと軽量化の境界線
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