ULTRALIGHT CLASSIC

開発ストーリー #02 | 『腰荷重 × 最軽量』快適性と軽さを追求したスタンダードなULバックパック

2023.09.01
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既存の常識にとらわれない自由で大胆な設計思想、g単位で理に適う最軽量な素材を探しアグレッシブに採用する実験的アプローチ。クレイジーな失敗作にも寛容なウルトラライト黎明期のアティテュードは、革新的かつ普遍的な名品を生み出してきた。

そして、極限を探求したこれらのプロダクトたちは、ハイカーにトレイルライフにおける知恵の習得さえ求め、ハイカーの知識・スキル向上を後押ししてきた。

TRAILSは『Simple × Classic × Super Ultralight』をコンセプトにしたプロダクト「ULTRALIGHT CLASSICシリーズ」をスタートする。

TRAILSはメーカーではない。このシリーズを通じて、僕たちが熱狂した実験的でイノベーティブなULカルチャー再燃のきっかけをつくり出せたらと思う。

* * *

今回リリースするULバックパック『LONG DISTANCE HIKER』『ULTRALIGHT HIKER』および「ULTRALIGHT CLASSICシリーズ」が誕生するまでの開発ストーリー (全6回) 。

予約販売開始までに公開する第1弾 (#1〜#3) の第2回目となる今回は、腰荷重 × 最軽量を追求した『LONG DISTANCE HIKER』の製品コンセプトおよび特徴を紹介する。

コンセプト:腰荷重 × 最軽量


 
目指したのは、ベースウェイトが重くなった際にも快適性の高い「腰荷重モデル」でありながらも、「同サイズ (容量) 比で最軽量級の圧倒的軽さ」をほこるロング・ディスタンス・ハイキング用ULバックパックにおけるスタンダード。

PCT、CDT、ATのアメリカ3大トレイルはもちろんTe Araroa (ニュージーランド)、Lapland (北欧) など世界中のトレイルを数カ月間にわたってロング・ディスタンス・ハイキングする際に、快適性と軽さの両立を追求したいハイカーに最適なモデル。

ロング・ディスタンス・ハイキングにおいては、次のリサプライポイント (補給をする町) が遠く通常より多くの食料を持たなければいけないケースもあれば、水場が少ないエリアで大量の水を背負うこともあれば、季節に応じて携行するギアが増えることもある。またアメリカのトレイルでは、ジョン・ミューア・トレイルのように、ベアキャニスターが必携の場所もある。このように、ロング・ディスタンス・ハイキングでは、荷物が想定以上に重くなることが数多くある。

そこで必要なのが、腰荷重における荷重分散と追従性を最適に実現してくれるウエストベルトの設計である。今回の開発にあたって快適性を左右するフォームの硬さはもちろん、その高さや厚みもミリ単位でのトライ&エラーを繰り返した。

軽量化においては、フレームレス構造のULバックパックのクラシックなスタイルを採用し、その上で本体ボディには超軽量で強度が高い最先端のファブリックである「ULTRA200」を使用した。またテープやプラパーツもULバックパックで主流である20mmではなく、極細の12mm幅に合わせた軽量なものをセレクトし、全体から細部にいたるまで軽量化を図った。

こうして快適さと軽量さが両立できるギリギリの境界線を探ってたどり着いたのが、『LONG DISTANCE HIKER』である。

スペック

重量

500g

容量

55L (本体+ポケット)

素材

ULTRA200 (本体)、ULTRA STRETCH (フロントストレッチポケット、サイドストレッチポケット)

製造

MADE IN JAPAN

※製品の仕様は予告なく変更する場合があります。

フィーチャー①:荷重分散と追従性の向上


 
ウエストベルト
快適な腰荷重における荷重分散と追従性を最適に実現してくれるフォームの硬さ、高さ、厚みを追求したウエストベルト。


 
ウエストスタビライザー
腰荷重をより機能させるために搭載した、バックパック本体とウエストベルトを繋ぎ、バックパックの左右のブレを軽減するウエストスタビライザー。


 
ネイルペグフレーム
バックパックの内側のボトム部分 (背面側) にネイルペグを収納できるスリーブを搭載。これが擬似フレームとなり追従性が向上する。


 
ショルダースタビライザー
バックパック側に38mmテープを接合。「点」ではなく「面」で引き寄せる構造にすることで追従性がより向上し、バックパックの左右のブレを軽減。

フィーチャー②:先端素材と必要十分の追求


 
ファブリック
メインのファブリックは『ULTRA200』。DCFハイブリッド (2.92 oz/yd²・HMGのWINDRIDER40 ホワイトなどで採用) と比べると、引裂強度は3倍、耐摩耗性は7倍超を有する、超軽量かつ強度と耐久性と防水性を兼ね備えた生地 (3.5 oz/yd²)。


 
フレームレス構造
バックパックの軽量化手法として有効なクラシックなフレームレス構造を採用。クローズドセルマットをフレームの代用として巻くことで剛性が高まる。


 
12mmテープ&プラパーツ
ウエスト以外の全テープ類は、ULバックパックで主流な20mmではなく極細の12mm幅で統一。プラパーツも極限まで小さく、少なくして軽量化。


 
背面パッドスリーブ
エアマットを使用する人向けの背面パッド収納スリーブ。荷物の出し入れを邪魔しない構造でありながら、生地面積を削減したひし形状で4gの軽量化。

フィーチャー③:シンプルで拡張性の高い収納


 
ポケット&トップクロージャーベルト
見た目はシンプルながらも拡張性に優れ、フロント、サイド、ウエスト、トップに、かなり多くの荷物を収納することができる。


 
フロントストレッチポケット
伸縮性と耐久性に優れたULTRA STRETCHを採用したストレッチポケット。フロント全面に配した大容量で、さまざまなギアを手早く収納できる。


 
サイドストレッチポケット
伸縮性と耐久性に優れたULTRA STRETCHを採用したストレッチポケット。レインウェアや浄水器、inReachなど、出し入れが多いギアの収納に便利。


 
サイドコンプレッションコード
バンジーコードを用いたコンプレッション機能。必要最小限のホールド性を追求し、シンプルなV字型を採用。シンプルゆえに出し入れもしやすい。


 
エクステンションカラー (吹き流し)
バックパック本体上部には、十分なエクステンションカラー (吹き流し) を設けることで、より多くの荷物を収納することができる。


 
トップクロージャーベルト
トップベルトは、1本締めではなく、ULバックパックのクラシックと言えるY字型を採用。マットはもちろんベアキャニスターなどもしっかり固定。


 
シリンダー型ボディ
バックパックの形状は、円柱型のベアキャニスターの大容量サイズ (11.5L) がストレスなく出し入れできるシリンダー (円柱) 型。


 
ウエストポケット
ポケットは、大型サイズ (170 x 120 x 40mm) でスマートフォン (例:iPhone 14 pro) も余裕で入る。行動食などの収納にも便利。

アクセサリー (オプション)


 
ボトルホルダー
500ml〜1Lまで対応できるボトルホルダー。生地にULTRA STRETCH採用しているため、伸縮性と耐久性に優れ、さまざまな形状のものを収納可能。


 
アンブレラホルダー
最小限 (2つ) の軽量なパーツでショルダーハーネスに傘を固定できる。傘を差しても手を自由に動かせる。着脱も容易。
 

アイスアックスループ
ガイラインとコードロックで構成されたシンプルな仕様で、アイスアックスのシャフトとヘッドの2箇所をしっかり固定。着脱も容易。

販売方法について

販売方法
予約販売 (先着順)
※予定販売数を超えた際には、予約受付を終了する場合もあります。

予約販売開始
2023年9月4日 (月) 12:00
※製品ページを公開しますので、詳細をお読みいただいた上でお申し込みください。

製品サンプル展示
9月2日 (土)・3日 (日) は、TRAILS INNOVATION GARAGEにて、『LONG DISTANCE HIKER』『ULTRALIGHT HIKER』の製品サンプルの展示を実施。実物を見たい方はぜひお越しください。(展示時間は12:00-19:00)

<️開発ストーリー 第1弾>
LONG DISTANCE HIKER と ULTRALIGHT HIKER
#01 | 腰荷重と肩荷重の2モデルで最軽量のULバックパックを作りたい
#02 | 『腰荷重 × 最軽量』快適性と軽さを追求したスタンダードなULバックパックを開発した
#03 | 『肩荷重 × 最軽量』必要十分の極限を求めたアグレッシブなULバックパックを開発した

<️️開発ストーリー 第2弾>
“ULTRALIGHT CLASSIC” Seriesが誕生するまで
#04 | UL黎明期のバックパックの実験的なデザイン思想にインスパイアされた『Simple × Classic × Super Ultralight』
#05 | Hariyama Productionsをプロトタイプビルダーとしてプロジェクトに迎えたわけ
#06 | プロトタイピングとテストを繰り返して探った快適さと軽量化の境界線

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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