It’s a good day! #08 | ヒッチハイクでのナイストゥシー
文・写真:鈴木拓海 構成:TRAILS
What’s “It’s a good day” ? | ロング・ディスタンス・ハイカーであり、バサーであり、スケートボーダーであるトレイルネーム Sunny (サニー) ことスズキタクミ。2021年よりTRAILS Crewにジョインしたタクミくんによる、ピースでイージーでちょっとおバカな気まぐれハイキングエッセイ。
なんとなくハイキング。で、なんとなくアメリカのあの⽇を思い出す。マストアイテムはウェイファーラーとラジオとハンバーガー。あとはULの屋根が切り取った三角窓のあの景色。それさえあれば、Itʼs a good day.
Nice to see
タクミです。今日もどこかのトレイルから、ごきげんよう!
ハンモックのために生きてくれているような木に出会い、バーガーの旨さを倍増してもらう。秋の風に揺られてかじりつけば、アメリカの風が吹く。
オーケー、レッツキープハイキン!
静かなトレイルをサクサク歩く。少し涼しくなったけど、まだ日中は少し暑い。鹿が楽しそうに駆けていく。
山菜採りのじいちゃんに会って、クルミが時期だぞお、と食べ方を教わる。本命のキノコは不振だったと笑って済ませるじいちゃん。お礼を言って、お土産にいくつか拾っていく。
早くなってきた夕暮れにあわせるように、明るいうちからタープをピッチする。
ラジオは友愛のメロディを奏でる。「肌の色や言語が違うだけで、なぜ友達になれないんだ?」
ふと、アメリカでのグッデイを思い出す。
リサプライのためにヒッチハイクをしようと、車道に面する小さなパーキングエリアにいた時にあるアメリカ人に会った。
そこは外国人をあまり好まない人が多い州で、そのアメリカ人も最初は汚いアジア人ハイカーに訝しげな目を向けていたけど、「旅行だよ」と告げると、彼はぶっきらぼうに「楽しんでな」とだけ返してくれた。
一服する彼に便乗しておれも煙草に火をつける。この国でも愛煙家の肩身はせまく、仲間意識を持ってくれたのか少し世間話をした。彼はおれが歩いていたロングトレイルを知らなかった。
ウン千マイルも歩くんだと説明すると、目を丸くして「クレイジーなヤツがいたもんだ!」と、そのときに初めて笑顔を見せてくれた。
彼は何年も前にハーレーでアメリカ横断の旅をしたのだという。バイクの旅でもあまりの長さに、たまにうんざりしたのに、と自分の思い出話をしてくれた。話の最後に、彼がイタズラっぽく言った。
「おまけにお前さん、ジャパンからわざわざ来たんだろ?サイコーにクレイジーだぜ…日本からアメリカまでは、泳いできたのか?」
「もちろんだよ、すっげぇ時間かかったし超寒かったぜ!」
ジョークを応酬して、2人で笑う。
「残りも気をつけていけよ、楽しんでな!」
「ありがとう!」
固く握手をしてくれた。
知り合うことで、楽しくなる世界でよかった。
it’s good day!!
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