コロラド・トレイル | #03 リサプライ (食料・ギアの補給)とアクセス編 by Tony(class of 2023)
文・写真:Tony 構成:TRAILS
ハイカーが自らのロング・ディスタンス・ハイキングの体験談を綴る、ハイカーによるレポートシリーズ。
今回は2023年にコロラド・トレイル (CT) をスルーハイキングした、トレイルネーム (※1) Tony (トニー) によるレポート。Tonyは、CTの旅を終えた後にTRAILS crewにジョインしたハイカーだ。
第3回のTonyのレポートでは、スルーハイキングに向けた準備編として、リサプライ (食料やギアの補給 ※2) とアクセスのプランニングについてお届けする。リサプライは、ロング・ディスタンス・ハイキングをする上で、知っておくべきものなので、ぜひこれから歩こうと思っているハイカーはチェックしてほしい。
リサプライ①:食料の補給
– どのくらいの間隔 (日数) で町に降りる予定だったか
以前にPCTを歩いた経験から食料を補給するペースはイメージできていたが、最初は少し慎重に3日おきくらいのペースで小まめに町へ下りるプランとし、慣れてきたら約4、5日間 (70〜100 mile) のペースで町へ下りようと計画していた。
CTはセクションによってはトレイルと町がそこまで離れていないため、町へ下りる頻度を多くする計画も立てることができる。ただし、ルートが2通りあるカレッジエイトで、ウエストルートを選択する場合は、補給できる町が少なくなるので注意が必要だ。
– 町、店でどのようなものが補給できるか等 (食料、燃料、ギア)
町の規模によりリサプライの方法は大きく異なる。
小さい町では、食料はグローサリー・ストア (商店) やガソリンスタンド、スーベニア・ショップ (土産物屋) でリサプライすることが多く、ガス缶などの燃料やハイキング用のギアをリサプライできる可能性は極めて少ない。
規模の大きい街ではSafewayやWalmartなどのスーパーマーケットがあり、生鮮食品から日用品、サプリなど豊富に取り揃えられている。
ハイキングギアに関しては、REIなどの大規模ショップを有する町もあるが、ほとんどのトレイルタウンでは、中規模ショップか個人経営店でギアを調達する形になる。
– リサプライ・ボックス (事前の郵送) などは使う必要があるか
CTはトレイルと町の距離感が近い分、小さい町にはハイカーが集中する可能性もあり、一時的に町からトレイルフードがなくなるというリスクもある。自分の場合は現場判断でよいと考えリサプライ・ボックスを使うことはなかったが、小さい町ではリサプライ・ボックスを利用するハイカーも多い。
リサプライ②:ギアの補給
– 旅の途中でギアのリサプライをしたか
僕の場合は、事前に注文していたものを現地で受け取ったくらいで、それ以外に旅の途中でギアのリサプライはしなかった。
ただ、高山帯に雪が降り出す時期に歩く場合は、雪の状況を見ながら途中の町でチェーンスパイクなどのスノーギアをリサプライする必要がある。状況次第だが、カレッジエイトピークス・ウィルダネスで雪予報がある場合は、リードビルやブエナビスタのアウトドア・ショップを利用、サン・ファン・セクションで雪予報がある場合は、サライダやレイクシティのアウトドア・ショップを利用するとよい。
他にもBackcountry GearやGarage Grown Gearなどのオンラインショップで注文し、局留めや滞在先のホテル、または一部、ストアなどの保管してくれる場所で荷物を受け取る方法もある。各トレイルタウンの受け取り先については、データブックのトレイルタウン情報を参考にリサーチするのがおすすめ。
前述のオンラインショップはロング・ディスタンス・ハイキングへの理解もあり、こちらの状況を説明すると受け取りやすいように配送時期を調整してくれる場合もある。
リサプライできるトレイルタウン
さいごに、CTで僕が立ち寄ったリサプライができるトレイルタウンを一部紹介しよう。町の名前の後ろの( )内は、北から歩き始めた場合のスタート地点からの距離を表示した。
– ベイリー (41mile / 65km)
ロスト・クリーク・トレイルヘッドからヒッチハイクで8mile (13km) ほど下ったところにある小さなトレイルタウン。
リサプライをする場合、スーパーマーケットはなくグローサリー・ストア (商店) とガソリンスタンドで食料のリサプライができる。ただパスタやライス、フリーズドライなどのトレイルフードはなく、袋麺やスナック類がほとんどだ。小さなアウトドア・ショップはあるがエマージェンシー関連のアイテムが中心で、ハイキングギアは最低限の物がリサプライできるという印象だ。
– ブレッケンリッジ (104mile / 166km)
ゴールドヒル・トレイルヘッドを通るSummitStage(フリーバス)で4mile (6km) 南下した場所にあるトレイルタウンで、コロラド州随一のスノーリゾートだ。
リサプライをする場合、Safewayなどのスーパーマーケットが複数あり、とても充実している。パタゴニアやコロンビアなどアウトドアメーカーの直営店が多いため、ウェア類は手に入りやすい。アウトドア・ショップが少ないため、もし燃料などのリサプライが必要であれば、SummitStageで8mile (13km) ほど北上するとフリスコというトレイルタウンがあり、Epic Mountain Gearというアウトドア・ショップで燃料などのハイキングギアをリサプライすることができる。
– リードビル (143mile / 228km)
テネシー・パスからヒッチハイクで8mile (13km) ほど下ったところにあるトレイルタウン。
リサプライをする場合、Safeway (スーパーマーケット) がある。
ハイキングに必要なギアのほとんどが地元に根付いたLeadville Outdoorsというアウトドア・ショップで手に入るため、総合的にリサプライに適したトレイルタウンだ。
カレッジエイトのウエストルートを歩く予定で防寒系アイテムなどに不安がある場合は、この町で準備するのをおすすめする。
– サライダ (262mile / 419km)
モナーク・パス・トレイルヘッドからヒッチハイクで22mile (35km) ほど下ったところにあるトレイルタウン。
リサプライする場合、SafewayやWalmartがあり、ハイキングやトレイルランニング、自転車、パドルスポーツなどのアウトドア・ショップも充実しているため、必要なものはだいたい手に入る。CTの中ではかなり充実したトレイルタウンなので、CTをハイキングする上で必ず立ち寄った方が良いトレイルタウンのひとつだ。
この先のセクションでは、水が手に入りにくいドライセクションとサン・ルイス・パスやスノーメサなど、高山帯であるサン・ファン・セクションが待ち構えているため、ウォーターキャリーや防寒系アイテムの見直しなど、次のセクションに向けてこの町で準備することをおすすめする。
– レイクシティ (358mile / 573km)
スプリング・クリーク・パスからヒッチハイクで17mile (27km) ほど下ったところにある小さなトレイルタウン。
リサプライする場合、スーパーマーケットなどはなく、グローサリー・ストア (商店) とガソリンスタンドで食料のリサプライができる。品揃えは袋麺やスナック類がほとんどで、トレイルフードは少々割高だがパスタ類やトルティーヤぐらいは手に入る。この町では事前に食料などを送って、局留めにしておくリサプライ・ボックスを利用しているハイカーが多かった。
また町にはフィッシング・ショップがあり、そこでハイキングギアやドライフード、燃料なども手に入れることができる。
– シルバートン [モーラスレイク・キャンプグラウンド] (412mile / 659km)
トレイル上にモーラスレイク・キャンプグラウンドがある。ここがCTで最後のリサプライ地点となる。
モーラスレイク・キャンプグラウンドには小さなストアがあるが、スナック類のみの販売のため、リサプライがほとんどできない。そのため半分くらいのハイカーはキャンプグラウンドのストアにリサプライボックスを事前に送っておき、リサプライを済ます。
もう半分のハイカーはここからヒッチハイクで6mile (10km) ほど下ったところにシルバートンというトレイルタウンがあるため、そこでリサプライをする。
シルバートンには小さなスーパーマーケットやハードウェア・ストアがあり、最低限のリサプライができるようになっている。
地図とトレイルヘッドまでのアクセス
– 地図はなにを使用したか
トレイルの概要やリサプライ (食料やギアの補給) のプランニングをするに際し、まずは全体を把握するために、紙ベースの公式データブックとマップを用意した。また紙と併用で、地図アプリのFarOut (※3) でコロラド・トレイルのマップを購入・ダウンロードした。
FarOutはGPSナビゲーションの他に、書き込み機能による水場やトレイルタウンの最新情報をハイカー同士で共有できる。またトレイル上での熊やムースや目撃情報や、落とし物の呼びかけなど、様々な用途で使用されている。ちなみに、FarOutはトレイル上でもオフラインでマップを使用することができる。
PCTの時は紙のデータブックやマップをセクション毎に持ち歩いていたが、CTではトレイル上の細かな情報は紙ベースのデータブックを事前にカメラで撮影し画像として持ち歩き、地図はFarOutを利用することにした。
– トレイルヘッド (スタート地点) までのアクセス
スタートは北側のデンバーで、南下してデュランゴまで歩くプランを選択した。
北側のスタート地点であるウォータートン・キャニオンのトレイルヘッドまでは、デンバーの町から距離が離れている。公共交通機関を利用しても最寄りの駅まで行っても、そこからトレイルヘッドまで徒歩で3時間以上かかってしまう。
ヒッチハイクに挑戦するのもひとつの方法である。しかしデンバーは大都市のため、ヒッチハイクはリスキーだと判断した。いろいろと調べていくと、コロラド・トレイル・ファンデーションからボランティアのシャトルリストが提供されていることがわかった。そのリストを参照し、ボランティアの方たちに直接連絡をとることができる。
ただし、ボランティアの方たちは善意でリスト登録をしてくれているので、シャトルの依頼をする場合は余裕を持って1、2週間前から問い合わせをすること、もしシャトルしてもらえることになった場合もドネーション (寄付) を申し出ることは、ハイカーとしての心構えだと考えていてほしい。
南側からスタートする場合もスタート地点であるジャンクションクリーク・トレイルヘッドまでは、デュランゴから徒歩で2時間ほどかかってしまうため、同じくシャトルリストからシャトルを依頼することができる。
今回は、CTをスルーハイキングするにあたって、リサプライ(食料やギアの補給) やアクセスのプランニングについてレポートしてもらった。次回からは、いよいよコロラド・トレイルのトリップ・レポートをお届けする予定だ。
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