UL MAKER MOVEMENT

MYOGer Works | GARAGEに集うMYOGerたちが自作したギア #05

2025.01.27
NEW
article_image

取材・文・写真・構成:TRAILS

『MYOGer Works』では、TRAILS INNOVATION GARAGE (以下、GARAGE) に集まるMYOGerたちの作品をレポートしていく。

GARAGEでは、どんなMYOGerたちが、どんなギアをMYOGしているのか?

それぞれのMYOGerたちのバックグラウンド(MYOGしたきっかけや動機) と合わせて、各人がMYOGしたギアを紹介していく。

今回の第3回〜第5回では、MYOGer NIGHT #02 (2024年10月開催)に参加した、MYOGerたちによるMYOGが登場。Gossamer Gearファウンダーのグレン・ヴァン・ペスキもサプライズで参加した、この時のMYOGer NIGHTの様子は過去のレポートをぜひ読んでもらいたい (イベントレポートはコチラ)。

MYOGのマテリアル販売、MYOGer向けSCHOOL、MYOGer NIGHTと同様に、この『MYOGer Works』の記事が、MYOGカルチャーの世界観を共有、啓蒙し、素晴らしいUL GARAGE MAKER誕生の健全なブースターとなればと思う。

バイクパッキング・バック / KOUTA




バイクパッキング・バック (ボディ: エコパック EPX200。重量:左から,57g、404g、190g。製作時間:9ヶ月。)

—— このギアをMYOGしたポイントは?
KOUTA:フレームバッグは、フレームの三角形全面にピッタリと収まるサイズになるように工夫しました。とはいえ、思っていた以上にピッタリに作れたのは嬉しい誤算でした。

MYOGについては知らないことが多すぎて大変でしたが、結果的に使えるものが作れてよかったです!


MYOGしたのは、フレームバッグ、サドルバッグ、アクセサリーバッグ。

—— MYOGを始めて1年未満だけど、細かい工夫をたくさん盛り込みましたね。
KOUTA:インスタを漁っていろいろイメージを膨らませて作りました。ダボ穴を使用して、パックの内側からネジでフレームに固定したり。他にも、中に小さいポケットを付けたり、ダブルジップ仕様にしたり、上下2室に分けて仕切りはベルクロで脱着可能にしたりとか、やってみたいことをいろいろ盛り込みました!

MYOGにハマったきっかけ

自転車のフレームバッグはお店でもオーダーできるが、値段は安くないし‥、自分で作れるのでは?と思ったのがきっかけ。当初はMYOGという言葉やカルチャーも知らなかった。イチから構想を練り始め、生地を調べるとネットで買えることがわかり、MYOGを始める。このときにTRAILSも知る。

 

バックパック / HIDE




バックパック (ボディ: ULTRA 200。重量:920g。製作時間:2ヶ月。)

—— このギアをMYOGしたポイントは?
HIDE:自分自身が理想とするベンチマーク (基準) となるような40L程度のバックパックを求めて、継続的にMYOGしています。

改善を繰り返しているんですけど、このバックパックはそのバージョン3です。みちのく潮風トレイルのような、舗装路 (ロード) とトレイルが入り混じる旅での使用を想定したものです。夜に舗装路を歩くことも多いことから、フロントポケットにはリフレクターが入ったメッシュ生地を使いました。また製作にあたっては「快適性と耐久性の検証」をテーマとしました。


パッドの厚みや形状、荷重バランスの検証を繰り返した。

—— どのような点を検証をしたのですか?
HIDE:基本ではありますが、どのようなパッドの厚みや形状、荷重バランスが快適性をもたらすのか。また個人レベルで実現できるテクニックで、その耐久性をいかに高められるかを考えながら製作しました。また細かな縫製の工夫などもしていて、製作と使用を通して、とても多くの学びが得られた一品です。

MYOGにハマったきっかけ

エンジニアの仕事をして、ずっとオープンソースやメーカームーブメント (※1) のカルチャーに触れていて、自分の使うものの仕組みを理解したいという気持ちがあった。実際に始めてみると「自分が欲しいもの」の輪郭を捉えるのはとても難しく、多様なニーズが絶妙なバランスで落とし込まれた既製品にリスペクトを感じることが増えた。

 
※1 メーカームーブメント:2000年代以降、インターネットや新しいテクノロジーの普及とともに、インディペンデントでイノベイティブな新しいメーカーが多く立ち上がった。この製造業全般に世界中で起きた「メーカー革命」を指す。詳細は、TRAILSの「ULTRALIGHT GARAGE MAKER MOVEMENT ~ ウルトラライトとMYOGがつくる熱狂」の記事でも触れている。(記事はコチラ https://thetrailsmag.com/archives/78066)

サドルバック / JIRO




サドルバック (ボディ: エコパック EPX200。重量:65g。製作時間:3時間。)

—— このギアをMYOGしたポイントは?
JIRO:GARAGEのSCHOOLに参加して、ミシンが使えるとなってから、とにかく何かを縫いたい衝動が抑えられないんですよね。それでバイクパッキングのフロントフォーク・バッグをベースに、シンプルなサドルバッグを作ってみようと思ったのがこれです。

自転車の鍵の収納だけに限定したサイズにしたのがポイントです。自転車に固定するためのウェビングベルトを縫い付ける際に、角度を左右対称にするのが難しかったです。ウェビングテープやループを挟んで縫うのは、今だに苦労しています。


パーツの色の組み合わせの自由さも楽しんだ。これもMYOGの醍醐味のひとつ。

—— よく見ると色の組み合わせも、かなり遊んでますね。
JIRO:MYOGだから、色ちがいのファブリックを組み合わせたり、ジッパーとスライダーをちがう色にしたり、自由な色の組み合わせを楽しみました。ちなみに使ったのは、使ったのは防水生地のエコパックと止水ジッパーです。

MYOGにハマったきっかけ

最初はTRAILSのGARAGEのSCHOOLに参加して、ULコンテナを製作。これを応用してバイクパッキング用のフロントフォーク・バックをMYOGできるかもと、GARAGEで相談し、帰ってすぐに製作してみたら満足できるものができた。これがきっかけでMYOGの楽しみを覚えた。

 

シャツ、手甲、パンツ / YAN




シャツ、手甲、パンツ (シャツ、手甲: ナイロン生地、パンツ:凌のハカマスカートをカスタマイズ。重量:シャツ96g、手甲24g、パンツ338g。。製作時間:シャツ、手甲 各1週間。パンツ 不明)

—— このギアをMYOGしたポイントは?
YAN:シャツと手甲は自分で「SHINOBI」シリーズと名付けているもので (笑)、シャツは結構昔に作りました。それこそ6年くらい前で、MYOGを始めて間もない頃のものです。ユザワヤで買った、ソフトシェルっぽい撥水のナイロンの生地で作りました。手甲もこれと同じ生地で作りました。ちなみに服をつなぎ合わせるのにロックミシン (布の端がほつれないようする「かがり縫い」をするミシン) を使わずに、普通のミシンでも思ったより簡単にできました。


凌の「ハカマスカート」をカスタマイズ。パンツにもスカートにもなる仕様に。

—— パンツは既製品をカスタマイズしたMYOGですね。
YAN:凌の「ハカマスカート」をパンツ化したものです。中央がジッパーになっていて、元のスカート形状にも戻せる仕様になっています。最初にカスタマイズした初期型から、その後、裾をバンジーコードで絞れるようにして、『呪術廻戦』の夏油 (げとう) が履いているパンツのような仕様に、さらに改造を加えました。周りからは、「土方パンツ」とか「現場パンツ」とか言われます。

MYOGにハマったきっかけ

最初はスタッフサックを作ってみて、自分でできるじゃん!と思った。その後にストレッチナイロンの生地を買って、ベースレイヤーのTシャツも作ったりしはじめた。他にも既製品のカスタマイズなんかもちょこちょこやっている。

 

蚊帳 / KANEYAN


 

バグネット (ボディ: ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック 0.8oz、ノーシーアム・メッシュ0.67oz。重量:345g。製作時間:3週間。)

—— このギアをMYOGしたポイントは?
KANEYAN:最初はタープ泊に使う蚊帳を作ろうと思っていたんですが、GARAGEでタクミくんに相談したら、「上にヒモを通せるようにしたらハンモック泊にも使えるんじゃない?」とそそのかされて (笑)。それでタープ泊にもハンモック泊にも使える蚊帳を作りました。


タープ泊にもハンモック泊にも使える蚊帳。

—— ハンモック泊でも使えるように工夫したポイントは?
KANEYAN:入り口をセンターにして、ジッパーをT型にすることで、ハンモックへのエントリーをしやすくしました。また高さを高めに設計することで、タープ泊時には居住性があるサイズで、且つハンモック泊の蚊帳に使えるサイズ感にできました。

ハンモックで使用できるように、ツリーストラップを通す仕組みを考えるところは苦労しました。最終的にそこはツェルトなどのベンチレーションの仕組みを参考にして作りました。

MYOGにハマったきっかけ

小さい頃から、ものをつくるのは好きだった。最初のMYOGは、自分は体が大きいので、自分の体に合ったビヴィを作ろうと思ったのがきっかけ。その後、GARAGEを訪れて、いろいろと相談に乗ってもらって、バックパック、ハンモック用のアンダーキルトなど、いろいろとMYOGをするようになった。

 

TAGS:


RELATED

ULTRALIGHT GARAGE MAKER MOVEMENT ~ ウルト...
MYOGer Works | GARAGEに集うMYOGerたちが自作したギ...
MYOGer NIGHT | メーカームーブメントの新たな系譜となるか。20...

LATEST

パシフィック・クレスト・トレイル (PCT) | #08 トリップ編 その5...
LONG DISTANCE HIKING | 「『衣・食・住・歩』の方法論...
MAKE YOUR OWN GEAR | 「自作ULペグケースのつくり方...

RECOMMEND

北アルプスに残されたラストフロンティア #01 |伊藤新道という伝説の道 〜...
LONG DISTANCE HIKER #09 二宮勇太郎 | PCTのスル...
パックラフト・アディクト | #46 タンデム艇のABC 〜ウルトラライトな...

POPULAR

北アルプスに残されたラストフロンティア #04 | 伊藤新道を旅する(前編)...
TOKYO ONSEN HIKING #14 | 鐘ヶ嶽・七沢荘...
TODAY’S BEER RUN #06 | アンテナアメリカ 関内店 (関...

STORE

GARAGE

WRITER
トレイルズ

トレイルズ

佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

>その他の記事を見る 

TAGS

RECOMMEND

北アルプスに残されたラストフロンティア #01 |伊藤新道という伝説の道 〜伊藤正一の衝動と情熱〜
LONG DISTANCE HIKER #09 二宮勇太郎 | PCTのスルーハイキングで気づいた本当の自分
パックラフト・アディクト | #46 タンデム艇のABC 〜ウルトラライトな2人艇のススメ〜

POPULAR

北アルプスに残されたラストフロンティア #04 | 伊藤新道を旅する(前編) 湯俣〜三俣山荘
TOKYO ONSEN HIKING #14 | 鐘ヶ嶽・七沢荘
TODAY’S BEER RUN #06 | アンテナアメリカ 関内店 (関内)

STORE

ULギアを自作するための生地、プラパーツ、ジッパーなどのMYOGマテリアル

LONG DISTANCE HIKER
ULTRALIGHT HIKER
ULギアを自作するための生地、プラパーツ、ジッパーなどのMYOGマテリアル
HIKING UMBRELLA UV
ウエストベルト
ボトルホルダー
アンブレラホルダー
コンプレッションコード
アイスアックスループ

RELATED

ULTRALIGHT GARAGE MAKER MOVEMENT ~ ウルトラライトとMY...
MYOGer Works | GARAGEに集うMYOGerたちが自作したギア #01...
MYOGer NIGHT | メーカームーブメントの新たな系譜となるか。2020年代のMY...

LATEST

パシフィック・クレスト・トレイル (PCT) | #08 トリップ編 その5 DAY73~...
LONG DISTANCE HIKING | 「『衣・食・住・歩』の方法論(1DAYツア...
MAKE YOUR OWN GEAR | 「自作ULペグケースのつくり方」2月開催...