スキーハイキング | #16 トニー、サニー、イエスのBCクロカン & MYOGハンモック・トリップ 2DAYS(計画編 その2)

『SKI HIKING (スキーハイキング)』は、「歩くスキー」であるBCクロカンにフォーカスした記事シリーズ。
BCクロカンは、滑りながら歩けるその機動力の高さで、スノーハイキングの旅を拡張してくれる (TRAILSがBCクロカンに惹かれた理由はコチラ)
今年はTony (トニー)、Sunny (サニー)という前年のメンバーに、新たにYes (イエス) が加わり、TRAILS Crewらしく「MYOG (※2)」 がテーマとなった。
前回の記事では、ハンモック、ツリーストラップをMYOGした様子をレポートしたが、今回の記事ではBCクロカン用のバックパックのカスタム、スキーケース、スノーアンカーなどスキー&スノーギア関連のMYOGをお届けする。
それでは、3人のBCクロカン×MYOGハンモックでのスキーハイキングレポート (全6回)の、 第2回「計画編 その2」をお楽しみください。
ULハンモックを自作するMYOG SCHOOLと自宅でULハンモックを自作するMYOG kitもリリースしたので、そちらもチェックしてみてください。(SCHOOLはコチラ。MYOG kitはコチラ。)
※昨年のBCクロカン・トリップ: 「SKI HIKING | #10 トニー、サニー、ノブのBCクロカン・トリップ あまとみトレイル2DAYS(トリップ編・その1)」https://thetrailsmag.com/archives/71835
※2 MYOG: MAKE YOUR OWN GEARの略。ギアの自作を指す。特にここでは、ロング・ディスタンス・ハイキングとウルトラライト (UL) ハイキングの文脈におけるギアの自作を指す。
左から、TRAILS CrewのYes (イエス)、Tony (トニー)、Sunny (サニー)。
Tony (トニー)
TRAILS INNOVATION GARAGE(以下、GARAGE) の店長。2015年にPCT (パシフィック・クレスト・トレイル) 、2023年にはCT (コロラド・トレイル) をスルーハイキング。
Sunny (サニー)
GARAGEの「MYOG番長」。2016年にPCT (パシフィック・クレスト・トレイル) 、2019年にCDT (コンチネンタル・ディバイド・トレイル) をスルーハイキング。
Yes (イエス)
学生時代からTRAILSに出入りし、2024年にJMT (ジョン・ミューア・トレイル)を歩いた後、正式にTRAILS Crewにジョイン。JMTではタープやビヴィをMYOG。
BCクロカンのスキー板をチョイス。
3人でBCクロカンの板を眺めながら、今回使うものをチョイス。
MYOGハンモック&ツリーストラップができあがったので、次はスキー & スノーギア。
まずはBCクロカンの板をそれぞれがチョイスする。
サニー:「オレはこのフィッシャーのエクスカージョン 88 (179cm) を使ってみたいと思ってたんですよね。去年使ったマズシャスのイオン62 (165cm) より回転性が良さそうで。多少のアップダウンがあっても、軽快にいけそうな感じがいいなと思って。」
左から、TRAILS CrewのTony (トニー)、Yes (イエス)、Sunny (サニー)。
トニー:「自分が去年使ったのは、カルフの10th マウンテンツアーで、2m近くある板で直進性はばっちりだったけど、若干取り回しは大変なところもあって。で、今年は反対に短いやつを試したいなと思って、ホワイトウッズのタイタン (160cm) を使ってみようかと思って。」
イエス:「それ、僕も気になってました。木目調のデザインもいい感じですし、重さも1800gで一番ULな板ですよね。」
トニー:「そうなんだよ、自分はULに振ったセレクトで行きたいなと思って。」
イエス:「トニーさんがULに振るなら、僕はハンモックも快適さと軽さの両立を狙っていくんで、板も歩きと滑りのバランスがよさそうな、マズシャスのイオン62 (165cm) にしようかと思います!これはBCクロカンの定番ギアって感じですよね。」
サニー:「じゃあ、スキー板のチョイスは、みんなバッチグーっすね。」
スキーのアタッチメントのため、TRAILSのバックパックに自らでハサミを入れる。
ここからはMYOGの時間。
トニー:「さて、では自分とサニーで、スキーのアタッチメントの方法を考えよう。」
サニー:「あのぅ、もしかしたら怒られるかもしれないですけど‥、バックパックへのスキーの取り付けをいろいろ考えてて‥。」
トニー:「去年はTRAILSのバックパック『LONG DISTANCE HIKER』をいかに拡張できるかを考えて、バンジーコードとか駆使してやったよね。」
サニー:「そうなんですけど、TRAILSのバックパックに、スキーをアタッチメントするベルクロを縫って付けたら、完璧なんじゃないかと思って‥。さすがに自分たちが売ってるバックパックにハサミを入れちゃまずいっすよね。」
トニー:「いや、自分たちでつくった既製品もMYOGでカスタマイズしちゃうって、アリなんじゃない?TRAILSのバックパックはBCクロカンに最適化した設計ではないから、BCクロカンで使うなら、そのためにMYOGで拡張するっていうのは、MYOGのあるべき姿だよ。」
サニー:「それじゃあ、やっちゃいますか!」
TRAILSのバックパックのサイドをハサミで切ってほどいて、嬉々としてカスタマイズするサニー。
トニー:「バックパックのサイドに2本のベルクロを取り付ける感じだよね?それだけでスキー板を固定できるかな?」
サニー:「ビンディングのところを、上の方のベルトにひっかけてあげれば大丈夫だと思うんですよね。これがうまくいったら、スキーの付け外しがすごいラクになって、ハイキングの機動力が上がると思うんですよ。」
トニー:「付け足すにしても、シンプルなパーツの方が、バックパックのコンセプトに合ってて、いいと思う。」
バックパックのサイドに、2本のベルクロを通す。
実際にバックパックをスキー板を取り付けてみる。
サニー:「どうっすか?この仕上がり。」
トニー:「おぉ、ばっちりだね!ベルクロも25mm幅の方がいいかなと思ったけど、ミニマムな20mm幅を選んでにしてよかったね。こうやって細かいところを、ミリミリと削って、必要十分って何?というのを実験するのが大事だよね。」
サニー:「そしたら、スキー板の次は宴会用の鍋の外付けもやってみます?」
今回の秘密兵器のひとつ、アルミ箔のUL鍋 (容量 4L)。
トニー:「宴会用の鍋は、去年はトランギアのビリーコッヘル 4.5Lを使ったけど、もっとUL鍋はないかなと探してたのよ。ちなみに去年のトランギアが548gね。で、見つけたのがこれ。」
サニー:「すげぇ (笑)。これ、コンビニで売ってる冷凍の鍋焼きうどんの鍋と同じですよね?こんなでかいのもあるんですね。」
さっそくバックパックに外付けを試す。
トニー:「アルミ箔のペラペラ鍋。容量4Lで、重さは実測53g!パール金属の『アルミ箔深型丸鍋23cm(4.0L)』。値段も2枚入りで435円。 」
BCクロカン用のスキーケースをMYOG。
後半は、各自分担してMYOGを進めていく。
トニー:「イエスのスノーアンカーの進捗はどう?」
イエス:「がんがんやってますよ。スノーアンカーをみんなの分つくってますけど、結構、時間がおしてきましたね。」
トニー:「だね、残り時間がすくなくなってきたね。自分とサニーは、次にスキーケースのMYOGに移るわ。市販のスキーケースって、BCクロカンには大きすぎるものが多いじゃない?BCクロカン用のスキーケースが欲しくってさ。」
イエス:「たしかに、BCクロカンは、通常のスキー板よりも細いし、ビンディングも小さくてかさばらないから、BCクロカン用の、細いスキーケースってMYOGらしいアイテムですね。」
次はスキーケースをMYOG!寸法を割り出しながら設計。
トニーが以前に作ったロッドケースの設計を転用して、スキーケースをMYOGする。
サニー:「形状はトニーさんがコロラドトレイル行く時に作ったロッドケースみたいに、フラップ (フタ) の部分を折りたためて、スキー板の長さによって長さを変えられるようにしましょうよ。」
イエス:「いいっすね。生地は耐久性と軽量さから、まず妥当なのがダイニーマ®︎ グリッドストップ 210Dですね。他の生地でも実験してみましょうよ。」
トニー:「スキー板みたいに角張ったものに対する耐久性は懸念ありだけど、やっぱDCF (ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック) は試したいね。生地は厚めの1.43ozかな。あとは値段的にも気兼ねなくチャレンジできるTyvekハード。この3つでつくろう。」
今回使用したのはGARAGEでも取り扱っている生地。生地の名前をクリックすると詳細を見られます。ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック 1.43oz (ブルー) 、ダイニーマ®︎ グリッドストップ 140D、タイベック® ハード 90cm巾、
トニー:「いい感じじゃない?このできあがり。」
サニー:「生地の継ぎ目のところに、結構いい感じの持ち手も付けられましたしね。ここは自分がやりながら考えてみたところですご、我ながら、この持ち手は高さもサイズもばっちりなんじゃないかと!」
ちょうど腰のあたりの高さで持ち上げやすいところに付けた持ち手。
トニー:「スキーケースまでできたけど、しかしもう明日の出発まで時間ないね‥。」
イエス:「最後までいけますかね。」
トニー:「ちょっとカズさんにサポートお願いしてみよっか?」
出発まで時間わずか!TRAILS Crewのカズも加わってスノーギアをMYOG。
急遽、一緒にMYOGすることになったTRAILS CrewのKazu(カズ)。
イエス:「カズさん、スノーアンカーを作るのサポートしてもらえます?」
カズ:「見た感じ、これじゃ、明日まで間に合わなそうだもんね(笑)。よし、私も一緒にMYOGしまーす。CrewでワイワイMYOGするの楽しいね!」
イエス:「声かけたらすぐにMYOGしてくれるのアガりますね。じゃあ、このDCFのスノーアンカーを一緒に作りましょう!」
サポートに入り、一緒にMYOGするTRAILS Crewのカズ。
イエスも残りのMYOGの仕上げに入る。
イエス:「カズさんはキルティングとかもやってるし、やっぱ作るのが好きなんすね。」
カズ:「ちょうど個人的にフィッシングギアをMYOGしようとしてて、ミシン踏みたいモードだったから、ちょうどよかった!」
トニー:「よかったです!去年はスノーアンカーは何個かだけMYOGしたんですけど、今回は全部MYOGで行こうかと!」
カズ:「今回はハンモックもタープも、みんなMYOGしたやつだから、スノーキャンプのギアは全部MYOGで揃えたいよね。」
カズがMYOGしたDCFのスノーアンカー。
イエス:「おー、カズさんに入ってもらったら、最後はあっとい間に、完成ですね!」
トニー:「あとは去年のMYOGからアップデートした、DCFで作ったゲイターとミトンを加えて、これでOKだ。」
カズ:「全部、DCFでULだね。計量してみよっか。えーっと、私とイエスがMYOGしたスノーアンカーが1個12g。トニー & サニーがMYOGしたゲイターが1個 20gだから両足で40g、ミトンは1個11gで両手だと22g!軽いね。」
イエス:「軽さだけでなくて、DCFだから雪のフィールドで使うときの耐久性の観点でもよいですね。グローブは1.0 ozだけど、より耐久性が必要なゲイターとスノーアンカーは1.43ozの厚めのDCFと、細かく生地を使い分けてるのもよいですよね。」
MYOGしたスノーギア。すべてDCFがメインのULなギア。左からゲイター (20g / 1個、ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック 1.43oz )、ミトン (11g / 1個 、ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック 1.0oz)、スノーアンカー (12g / 1個、ダイニーマ®︎ コンポジット・ファブリック 1.43oz )。
サニー:「ゲイターは、去年にMYOGしたものは、シューズへの固定力が弱くて失敗しちゃいましたよね。トニーさんが使ったけど、ゲイターがズリ上がっちゃって、ずっとシューズのなかに雪が入ってましたもんね (笑)。」
トニー:「そうだよ!なので、バンジーコードを、シューズの下と周りの両方に通して、アップデートしたね。グローブも、手首にカフを付けて。」
カズ:「両方とも、雪の侵入を防ぎながら、使い勝手もあがってる、いい感じのアップデートだね!」
イエス:「じゃあ、これで明日からのBCクロカンのギアはばっちりですね。たくさんMYOGしましたね (笑)」
サニー:「今年、新しくMYOGしたものと、去年からのアップデートのそれぞれがあっていいね。」
トニー:「あとは天気だけ!いまのところの予報は、『今期 最強寒波、大雪のピーク』の豪雪ですけど!」
左からイエス、トニー、サニー。
今回のSKI HIKINGのテーマは「MYOG」!ということで、前回の記事でレポートしたハンモック、ツリーストラップ、タープに続き、バックパックのカスタムに、スキーケース、スノーアンカー、ゲイター、ミトンもMYOG。
次回の記事では、トリップ編をお届けするのでお楽しみに!
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