It’s a good day! #15 | スリープ・オン・パイ

文・写真:鈴木拓海 構成:TRAILS
What’s “It’s a good day” ? | ロング・ディスタンス・ハイカーであり、バサーであり、スケートボーダーであるトレイルネーム Sunny (サニー) ことスズキタクミ。2021年よりTRAILS Crewにジョインしたタクミくんによる、ピースでイージーでちょっとおバカな気まぐれハイキングエッセイ。
なんとなくハイキング。で、なんとなくアメリカのあの⽇を思い出す。マストアイテムはウェイファーラーとラジオとハンバーガー。あとはULの屋根が切り取った三角窓のあの景色。それさえあれば、Itʼs a good day.
Sleep on pie.
タクミです。今日もどこかのトレイルから、ごきげんよう!
珍しく早起きに成功した朝は、ちょっぴり遠くまで歩いてみよう。
トレイルを登り始める前にバーガーをかじって、準備万端。オーケー。レッツハイクアップ!!
目にまぶしい新緑と風が、一足はやく初夏を思わせる。予報どおり昼には暑くなった。
陽が長いのでおひるねもしちゃう。
それでもまだ明るいうちにゴキゲンなフラットをみつけて、テントをピッチする。
汲みたての冷たい水にウィスキーを少したらして、のんびりと電波を拾う。
ラジオは雑音まじりのカントリー・ミュージック。
キュートなカウガールにゃ会えなかったけど、カウには何度も世話になった。
ふと、アメリカでのグッデイを思い出す。
陽が長い季節だった。
辞書で「茫漠」と引いたらこの景色が出るような、平地。退屈で、けれど水場が少ないので止まるわけにもいかない。
とにかく足を動かすしかない。暑いので陽が暮れてからも歩き続ける予定で、徐々に伸びていく自分の影を追いかける。
ウシがトレイルを阻む。
んんんむうぅぅぅ。
景気よくうんこをしながら、こっちを見ている。ジャマだなぁ。いや、お邪魔しているのはこっちか。とおしてね。
陽が沈み、星が瞬きはじめる。一応ヘッドライトを装備するが、目を瞑っていても歩けるくらいのまっすぐだ。
月の出ていない星空を仰ぎながら歩く。
‥進んでいるのか?その場で足踏みしている感覚に陥って、ヘッドライトを点けてみる。前後も左右も、光が闇に吸い込まれるまで地平線だ。その先には宇宙。
まぁいいか。知らねぇ。宇宙で足踏み、無駄この上なし。へらへら笑いながらのんびり歩く。
午前2時ごろにちょうどいいフラットをみつけて、風もないので至極てきとうにピッチしたテントで眠る。汚いDCFがフニャフニャとはためく。
翌朝は涼しい曇りで、昼前まで眠った。
朝のコーヒーは‥水場に着いてからでいいか。
テントを片付けたら、からからに乾いて蹴散らされたカウパイ (牛の糞) が姿を現した。
うんこの上で快眠してやったぜ。
It’s a good day!!

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