ジョン・ミューア・トレイル (JMT) | #08 トリップ編 その5 DAY13~DAY15 by NOBU(class of 2022)
文・写真:NOBU 構成:TRAILS
ハイカーが自らのロング・ディスタンス・ハイキングの体験談を綴る、ハイカーによるレポートシリーズ。
今回は2022年にジョン・ミューア・トレイル (JMT) をスルーハイキングした、TRAILS crewのトレイルネーム (※1) NOBUによるレポート。
全6回でレポートするトリップ編のその5。今回は、JMTスルーハイキングのDAY13からDAY15までの旅の内容をレポートする。
※1 トレイルネーム:トレイル上のニックネーム。特にアメリカのトレイルでは、このトレイルネームで呼び合うことが多い。自分でつける場合と、周りの人につけられる場合の2通りある。

John Muir Trail (ジョン・ミューア・トレイル):アメリカ西部のヨセミテ渓谷から米国本土最高峰のホイットニー山まで、シエラネバダ山脈を南北に貫く211mile (340㎞) のロングトレイル。ハイカー憧れのトレイルで、「自然保護の父」として名高いジョン・ミューアが名前の由来。この旅では、JMTの本ルートより南のコットンウッドレイクのトレイルヘッドからスタートし、NOBO (北向き) でヨセミテを目指した。
ハイカーの楽園・VVRでのゼロデイで至福の時を過ごす。 (DAY13)

コーヒーを飲みながら、暖炉の火を背に朝食を待つ、至福の時間。
9月19日、7:00起床。寝ぼけ眼で暖炉のあるスペースに移動。どうやら一番乗りだったみたいだ。特大ブリトーとフルーツボウルで朝から満腹に。最高のゼロデイの始まりだ。
今日はとことんのんびりしながら過ごすと決めていた。溜まった疲労の回復をしながら、明日以降に向けた準備をダラダラと進める日だ。午前中の時間を使って、残工程の情報収集や、日本への帰国に向けた算段を立てた。
VVRではWi-Fiが有料で、1回25ドル。1度繋いでしまえばずっと使えるので、ゼロデイを取ると決めていた自分は迷わず購入。この時間を使っていろんな情報を得ることができた。

昼下がりからはずっと焚き火をして過ごした。薪が燃える様をただ眺めるのみ。
焚き火をしていると、今日からVVRにステイするハイカーが続々とやってきた。誰もいなかった焚き火スペースは、気づけば4〜5人のハイカーが集まり、皆、旅の話で盛り上がっていた。
夕食前には明日以降の山での食料も調達した。せっかくなのでアメリカのいろんなドライフードを食べてみたく、値段は張ったが奮発して購入。明後日にはまたレッズ・メドウ・リゾートに到着して補給が出来る予定だったが、情報収集の中で品不足という口コミもあったので、頑張れば最終日まで乗り切れるだけの食料を調達した。

豪華なラインナップ。アメリカのドライフードはどれも美味しかった。
VVRでのゼロデイは、素晴らしい選択だった。体の節々に痛みが出ていたが、1日休んだだけでかなり痛みが取れた。そして何よりこの上なくハイカーフレンドリーな場所で、「JMTを歩いている」というだけで応援し、明るく迎え入れてくれる。翌日にはVVRを去るのがとても名残惜しかった。
VVRで食べすぎて、体が重くなる‥。(DAY14)

VVRでの最後の食事。目一杯お腹に詰め込んで、いざ出発!
9月20日、6:00起床。VVRでは電気は7:00にならないとつかないので、ヘッドライトで照らしながらバックパックに荷物を詰める。準備を完璧に終え、朝食と会計を済ませて出発。
VVRのスタッフの方や周りのハイカーにもお礼を伝え、フェリーに。と思ったら、水が少ないからフェリーが乗れる場所まで車で連れて行ってくれるとのこと。

フェリー乗り場に到着。周囲の土の部分は本来だったら湖底。
フェリーに乗って湖の反対側まで行くものの、そちらもかなり手前で降りることになる。ここからは徒歩で湖底を歩いて、トレイルとの合流地点まで向かう。中1日空いての久々のハイキング。平地は快調だったが、登りでだんだん様子がおかしくなる。
筋肉的な疲労は完全に回復していた。しかし、2日間ほぼ動かずにたらふく食べていたら体がかなり重くなってしまったみたいだ。少しショックを受けつつ、とはいえ前に進まねばならないので、ゆっくり前に進んでいく。

徐々にJMTらしい景色に戻っていく。
途中ですれ違ったJMTハイカーはVVRには行かないと言っていた。レッズ・メドウ・リゾートとミュア・トレイル・ランチの補給だけでオニオン・バレーまで歩き切るプランだそう。早く歩きたい人の観点だと、VVRまでは少し距離もあるし、ゆっくりしたくなっちゃう場所なので、行く必要がないのかもしれない。
パス越えと想像以上の体の動かなさで、今日は歩き始めから20km弱の地点でステイ。VVRで買ったドライフードはとても美味しかった。
凍える北風の中、レッズ・メドウ・リゾートへ。(DAY15)

晴天の中、湖を横目に進んでいく。
9月21日、6:00起床、気温は0℃ほど。いつも通り朝食を済ませ、今日はレッズ・メドウ・リゾートを目指す。昼前から北風が強く吹くようになり、途中からは歩いているのにダウンを着てないと寒いくらいに。湖畔の開けたところは風が容赦なく吹き付け、かなり寒かった。
歩いていると、すれ違うハイカーが皆口々に雪について教えてくれた。ドナヒュー・パスでは10cmほどの積雪があるらしい。ちょうど2日後にドナヒュー・パスを越える予定だったので、そこまでにできるだけ雪が融けていてほしい。

遠くの山には雪が見えた。おそらく2日後にあのエリアを歩くだろう。
たしかに旅の序盤は9月前半でまだまだ夏の様相だったが、今は少し空気も変わってきているようだった。
自分が歩いているNOBO (北向き) の場合は平均してだんだんと標高が下がっていくので気づきにくかったが、SOBO (南向き) は特に後半の防寒対策・雪対策はかなり重要になってくるのだろう。9月のJMTならではの季節変化を楽しむことができたので、よしとしよう。
そうこうしているうちにレッズ・メドウ・リゾートに到着。VVRのようなハイカー向けの施設というよりは、車で来た家族連れがキャビンに泊まるリゾート、といった感じだった。

レッズ・メドウ・リゾートの入口。トレイルからも距離がなく、アクセスしやすい。
今日はここのテントサイトにタープを張って過ごす予定だ。テントサイトの利用にも受付が必要だが、7:00-19:00で営業しており、時間的な問題は全くなかった。ちなみに併設のストアも同じ時間で営業していて、かつ、品数も前評判よりは全然豊富だった。トレイル上での補給にはもってこいなのではないだろうか。
夕食にはバーガーを注文。とてもジューシーで肉厚なパテに、ケチャップとマスタードを塗りたくって、ガブリ。それでは足らず、ハイカーボックスにあったナッツもいただいた。
いよいよこの旅も終盤になってきた。明日以降のエリアはとても楽しみにしていた場所。雪に若干不安を持ちつつも、ワクワクしながら眠りについた。

JMTも残り数日。秋を感じながら、チーズとビールで残りの時間を存分に満喫する。
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