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Fishing for Hiker | 日本の伝統釣法「テンカラ」が世界中のULハイカーに与えた衝撃 #05 アメリカのULハイカーとテンカラの出会い /「Backpacking Light.com」ライアン・ジョーダン (前編)

2025.09.17
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話・写真:ライアン・ジョーダン (Backpacking Light.com)、TRAILS 構成:TRAILS

Fishing for Hiker = ハイカーのための釣り

僕たちの熱狂の原点にフォーカスし、ウルトラライト・ハイキングに “釣り” を組み合わせた「Fishing for Hiker」というプロジェクトを始動させた。

その口火を切る特集記事「日本の伝統釣法『テンカラ (※1)』が世界中のULハイカーに与えた衝撃」。

#01は「Tenkara USAの誕生」、#02は「Tenkara USAに聞く、アメリカのULハイカーと”テンカラ”ムーブメント」、そして#03,#04では「日本のULハイカーとテンカラの出会い / 「山より道具」寺澤英明」というタイトルで、寺澤さんとTRAILS編集長 佐井との対談をお届けしてきた。

今回の#05では、2000年代より世界の最先端のULを牽引してきた、Backpacking Light.com (BPL) 主宰のライアン・ジョーダンが登場。そのライアン・ジョーダンとTRAIlS編集部Crewとの座談会を実施した。ライアン・ジョーダンの日本のメディアでの登場を、待ち望んでいたULハイカーもいるのではないかと思う。

BPLは、とりわけ2000年代後半から2010年代前半において、日本の当時のコアなULハイカーたちも、血眼になりチェックしていたサイトであり、最先端のULギアのレビューやトリップレポートが掲載され、またオリジナル・プロダクトも発信してきた。

前回記事で登場した、日本のULギア好きにとってレジェンド的なブログ「山より道具」の寺澤さんも、ライアン・ジョーダンのことを「ULの教祖様だった」と称していたことからも、BPLが持っていた磁場の強さが伝わるだろう。

Tenkara USAとともに、「テンカラ=UL」という可能性をいち早く発見し、テンカラの熱狂的なムーブメントを作った張本人であるBPL のライアン・ジョーダンと、TRAILS Crewとで語った「UL×テンカラ」の座談会をお届けする。

※1 テンカラ (テンカラ釣り):ロッド (竿)、ラインとハリス (糸) 、フライ (毛鉤 けばり) だけという、シンプルな道具で釣る日本の伝統的な釣り (リール等も使用しない)。主に川の上流部の渓流をフィールドに、ヤマメやイワナ、アマゴなどを釣る。欧米など海外では軽量でシンプルなフライフィッシングとして捉えられたりする。


2000年代~2010年代前半の、ULの黎明期に世界のULをリードしたBackpacking Light。その主宰のライアン・ジョーダンへのインタビューが実現。

Fishing for Hiker

Fishing for Hiker = ハイカーのための釣り。TRAILS誕生から大切にしてきたトレイルカルチャーのひとつフィッシング(釣り)。僕たちの熱狂の原点にフォーカスした、ウルトラライト・ハイキングに “釣り” を組み合わせる「Fishing for Hiker」のプロジェクト。ULハイカーが釣りをする際にヒントとなる記事に加え、刺激的なULギアのリリースや、実践までをフォローアップするSCHOOLなどもしていく。

幼少期からフライフィッシングにずっと熱中している。


Backpacking Light.com主宰のライアン・ジョーダン

TRAILS 佐井 聡 (以下、佐井):今回はインタビューの時間をくれてありがとう。僕自身もBackpacking Light.com (以下、BPL) を熱心に追いかけてきたULハイカーで、評価が確定していない最先端のULギアを検証する姿勢や、また科学的な視点も取り入れたアプローチでULを発展させてきたBPLをリスペクトしています。今日はよろしくお願いします!

ライアン・ジョーダン (以下、ライアン) :ありがとう!よろしくお願いします。

佐井:今日はTRAILS編集部Crewの小川、和沙、利根川 (トニー)も参加して、一緒に話をさせてもらうね。ところどころ他のメンバーからも質問させてもらうと思います。 

TRAILS一同:よろしくお願いします!

ライアン :楽しみです。

佐井:TRAILSの記事でも、UL黎明期のテーマに関わるときは、BPLは必ず引き合いに出しているんだ。TRAILSで連載しているGossamer Gearファンダーのグレン・ヴァン・ペスキ (以下、グレン) の記事でも、ライアンとグレンが一緒に新しいギアをフィールドテストしていた時の話も紹介したよ 。

ライアン:(記事の写真を見て) 懐かしいね (笑) スピンシェルターやライトトレックポールを開発していたときの写真だね 。グレンとは、昔からの長い付き合いなんだよね。(※関連する記事はコチラ)

zoomの画面に映ってるGARAGE店内に、Gossamer Gearの「Whisper (ウィスパー)」が展示されているのが見えるね!そのバックパックを持った写真を、僕の本の表紙で使ってるよ。これも僕がグレンに要望を伝えて、開発に関わったギアのひとつなんだよ。


ライアン・ジョーダンの著作『LIGHTWEIGHT』。この表紙で手に持っているのがGossamer Gearの「Whisper」(重量102g)。


手前がTRAILS INNOVATION GARAGEに展示されている、Gossamer GearのWhisper。

佐井:そう、これ僕の私物のWhisperで、グレンが来た時にサインをしてもらったんだよね。Whisperは容量33Lで重量102g。まさにULのイノベーションや実験性を象徴する、UL史に残るバックパックのひとつだね。このWhisperの開発ストーリーもグレンに記事で書いてもらったんだ (記事はコチラ)。

ライアン:そういえば、ついこないだ、本当に偶然だったんだけど、たまたまシエラをハイキングしているときに、トレイル上でグレンに会ったんだよ!

佐井:そうなんだ!グレンは、来日の度に毎回TARILSに立ち寄ってくれるんだよね。グレンとの話ももっと聞きたいところだけど、そろそろ本題に入りましょうか (笑) 

ライアン:はい、そうしましょう (笑)

佐井:今日のテーマは「UL × テンカラ」です。まず最初にライアンが、今までどんな釣りをしてきたかを、教えてもらえますか?

ライアン:今はコロラドのロッキー山脈の近くに住んでるんだけど、育ちはワシントン州で、6歳頃に父からフライフィッシングを教えてもらって、トラウトを釣り始めたのが最初だね。

佐井:ライアンのルーツはフライフィッシングなんだね。

ライアン:10代の後半くらいからは、サーモンとスチールヘッド (※2) を狙うフライフィッシングをやるようになって、20代前半くらいまでスチールヘッドを追いかけるのに夢中だったね。

佐井:フライフィッシング以外の釣りはやらなかったの?

ライアン:他にもいろいろな釣りをやってみたけど、結局フライフィッシングばかりやってるね。

佐井:じゃあ、フライフィッシング歴40年以上だね。

ライアン:そうだね、そういうことになるね。


ULスタイルでテンカラをするライアン・ジョーダン。

佐井:最近はどこで釣りをやってるの?

ライアン:よく釣りをするのは、コロラド、ワイオミング、モンタナ、アイダホ、カリフォルニアとかの山岳エリアにある湖だね。オフトレイルをハイキングして、人がまったくいない湖まで行って、そういったウィルダネス (大自然) の中で釣りをするのが、僕が好きなスタイルの釣りだね。

佐井:それは最高だね。

ライアン:山の中の湖で釣りをするのは、本当に最高だよ。僕の住んでいるところは、コロラド州にあるロッキー・マウンテン国立公園 (※3) から、ほんの2マイル (約3km) のところなんだよ。

佐井:トニーも2年前にコロラド・トレイルを歩いたよね。

トニー:コロラド・トレイルで、僕もフライフィッシングをしました。あんな環境で日々、釣りができるなんて羨ましいです。コロラド・トレイルのトレイルタウンには、フライフィッシングのショップもたくさんあって、カルチャーが根付いているのを感じましたね。Tenkara USAの本拠地があるのも、コロラドですしね。

ライアン:ロッキー・マウンテン国立公園は、アメリカでも屈指のフライフィッシングができる場所のひとつなんだよ。そんなところが家の近くにあって、一年中、高山の湖に行くことができるんだ。本当に恵まれた、最高の場所だよ。

※2 スチールヘッド:海で大きく成長してから産卵のために川に戻ってくる「降海型のニジマス」。スチールヘッド・トラウトが語源で、その名前は黒っぽい銀色の頭部を持つことに由来する。圧倒的なパワーとスピードを持ち、釣り人から「究極のゲームフィッシュ」と憧れられている魚のひとつ。

※3 ロッキー・マウンテン国立公園:アメリカ合衆国コロラド州北部に位置し、4,000メートル級の山々や氷河に削られた谷、多様な野生動物が見られる国立公園。アメリカ3大トレイルのひとつ、コンチネンタル・ディバイド・トレイルの一部は、この国立公園のなかを通っている。

1990年頃、日本人から竹製のテンカラロッドをプレゼントされた。


ウィンドリバー・レンジ。ライアンのテンカラのフィールドのひとつ。

佐井:ライアンが最初にテンカラを知ったのはいつですか?Tenkara USAの創業者のダニエルから教えてもらったの?

ライアン:Tenkara USAが誕生した2009年より前に、実はテンカラロッドを使っていたんだ。でも、それが「テンカラ」と呼ばれることは知らなかったんだよね。

僕は山岳ガイドの仕事をしていたんだけど、1990年頃にある日本人のお客さんが来て、遠征登山のガイドをしたんだ。それで、彼らがその登山がおわった後に、プレゼントとして竹製のテンカラロッドを日本から贈ってくれたんだよ。それが僕の最初のテンカラとの出会いだったんだ。

佐井:伝統的な和竿のテンカラロッドが、最初の出会いだったんだね。

ライアン:特注の美しいテンカラロッドで、そのシンプルさにも、とても驚いたね。面白いなと思って、プレゼントでもらってから、そのテンカラロッドも使ってるんだよ。

つまりTenkara USAのダニエルに会う15年くらい前から、テンカラの釣り方にはずっと触れてきたんだ。


Tenkara USA創業者のダニエル・W・ガルハルド。

佐井:Tenkara USAのダニエルと出会ったのはいつ?

ライアン:Tenkara USAを立ち上げる前年の2008 年に、ダニエルから連絡があったんだ。

「テンカラをアメリカに紹介するために会社を立ち上げるんだ。釣りをする人だけでなくて、ハイキングをする人たちにもそのよさを伝えたいんだ」と、そのときダニエルに言われたんだ。

ダニエルは写真とかで見たのか、僕がテンカラをやることを知っていたと思うんだよね。それで「一緒にコラボレーションして、テンカラをハイキングをする人たちに紹介したい」と連絡をくれたんだ。

佐井:ダニエルは、Tenkara USAの創業前から、BPLに提案を持ちかけていたんだね。

ライアン:そう、そして翌年の2009年の初めに、Tenkara USAが作った最初のテンカラロッドのプロトタイプを送ってくれて。それがBackpacking LightとTenkara USAのコラボレーションの始まりだったと思う。

佐井:Tenkara USA創業の2009年頃から、BPLのサイトで「テンカラ=UL」と盛り上がっていたのを、僕たちも当時リアルタイムで追いかけていて、とてもエキサイトしてました。まさにダニエルとライアンの思惑通りの反応だったかもしれないね (笑)。

Tenkara USAのテンカラロッドを初めて使ったときの衝撃。


テンカラをするライアン・ジョーダン。

佐井:Tenkara USAからBPLに、最初にどんな提案があったの?その内容をもう少し詳しく教えてもらえますか?

ライアン:さっき話したように、最初にダニエルがテンカラロッドのプロトタイプを送ってくれたんだ。

その時、ちょうどモンタナ州のボブ・マーシャル・ウィルダネスへ行こうと思ってその準備をしているところだったから、Tenakra USAのプロトタイプのロッドを持っていったんだ。

でもその時は、このテンカラロッドで釣れるかどうか不安だったから、いつものフライフィッシングのロッドも持っていたね。

佐井:結果どうだったんですか?

ライアン:その旅の最初の夜に、野営をしながらテンカラを試したんだよね。そしたら、本当に驚くほどたくさん釣れたんだよ!

佐井:竹製のテンカラロッドは以前にも使っていたんだよね?それとは、まったく違う印象だったの?

ライアン:まったく違ったんだ。グラファイト (※4) のテンカラロッドで釣りをするのは、こんなに楽しいのか!と驚いたね。前に使っていた竹製のテンカラロッドと比べて、とても軽快で、正確で、素晴らしい感触だったんだ。

すぐにTenkara USAのテンカラロッドの魅力に、とりつかれてしまったよね。この旅ではずっとテンカラロッドを使い続けたから、念のために持って行ってたフライロッドは一度も使わなかったよ。

それで、帰ってきてから、すぐにダニエルに電話したんだ。「このテンカラロッドを、できるだけたくさん作るべきだよ!!ULハイカーたちが気に入ってくれるに違いないから!早くだよ!」と伝えたんだ。


2009年当時のライアン・ジョーダンによるBPLへの投稿。※テキストはGoogleによる英語から日本語への翻訳。

佐井:相当大きい衝撃だったんだね。それでTenkara USAとのコラボレーションはすぐに動いたの?

ライアン:すぐに動きはじめたね。僕はULハイキングのコミュニティに詳しくて、ダニエルはフライフィッシングの小売業界について専門知識があったかた、結果的にBPLとTenkara USAは本当に良いパートナーシップができたんだよね。

テンカラロッドは素晴らしいULハイキングのツールになるだろうと、僕は確信していたから、この動きにはワクワクしたね。

佐井:BPLは、最初からテンカラロッドをULハイキングのための道具として捉えていたよね。日本ではテンカラは「昔からの伝統釣法」というイメージがあったから、その視点は僕たち日本のULハイカーにとっても、革新的だったんだよね。

※4 グラファイト:「カーボン」と基本的に同じ「炭素繊維」素材を指す。区別せずに使われることが多いが、厳密にはカーボンは炭素全般を指し、グラファイトはその中でも黒鉛化した炭素を指す。グラファイト製のロッドは、軽量で感度が高く、魚のアタリを捉えやすいことが特徴。

テンカラをもっとULハイキングに使える道具にするために。


テンカラで釣り上げたトラウト。

佐井:最初にテストしたプロトタイプは、Tenkara USAのどのモデルだったんですか?

ライアン:最初に使ったTenkara USAのロッドは「AYU (鮎)」。長さは約13フィート (4.2m) のものだったね。仕舞寸がかなり長いモデルだったから、バックパックに入れていたら、ロッドが上にかなり飛び出してしまったのを覚えてるよ。

それがきっかけでダニエルに、「短くてコンパクトなロッドを作れないか?」と相談したんだ。

佐井:ハイキングに使えるように、テンカラロッドをさらにアップデートしようとしたのですね。

ライアン:ULハイキングとテンカラを組み合わせるには、まずロッドをコンパクトにする必要があると思ったんだ。あと従来のフライロッドは、一般的に高価なもので、壊れやすい点も気になっていて。ロッドを保護するのに、重くて長いケースも必要だった。また道具としてリールも必要だし、道具も多かった。これらのポイントをクリアできないかと考えていたね。

佐井:フライフィッシングと比較して、テンカラはどのようなメリットがあると感じたの?

ライアン:従来の西洋のフライフィッシングは「ガジェット・カルチャー」のような世界になっていて、釣りをするための道具がたくさんあって、特に初心者やたまに釣りをする人にとっては、圧倒されるような道具の量に膨れ上がっていたんだ。

一方、テンカラは、少ない装備で釣りができて、難しいスキルも必要としない。追加重量もミニマムで済むし、お金もそれほどかかからない。だからULハイキングと組み合わせる可能性がとてもあると感じたんだ。

テンカラの功績=ハイキングとフライフィッシングという交わりづらかった世界をつなげた。


ULハイキングとテンカラを組み合わせて旅するライアン・ジョーダン。

和沙:私からいいですか?Tenkara USAの創業が2009年で、2014年にはpatagoniaからもテンカラロッドが発売されましたよね。少しずつ広がっているように見えているのですが、実際今のアメリカのフライフィッシングシーンの中で、テンカラはどのように認識されていますか。

ライアン:2009年にTenkara USAが最初にアメリカでテンカラを紹介して、最初はテンカラはおもちゃの釣り具のように捉えられたりもしていたんだ。

なぜかというと、西洋のフライフィッシングに比べると、テンカラは飛距離に限界があって、大型のトラウトには対応できないという認識があったからなんだ。

でも、BPLでは、こういったテンカラの認識に対する課題は、本来のテンカラについての教育や啓蒙をしていくことによって、解決できるのではないかと考えていて。だからBPLではこの10年間、まさにその点に力を入れてきたんだよ。

今ではテンカラはフライフィッシングのなかのひとつのジャンルとして認識されているけど、これからも教育は大事だと思う。


BPLの「バックカントリー・テンカラ (Baccountry Tenkara)」のオンラインコース。

小川:僕からも質問させてもらってもいいですか?BPLがやってきたテンカラの教育や啓蒙について、具体的にどのようなことをしてきたのですか?例えば、Tenkara USAの場合は、日本発祥の釣法であることなどテンカラの歴史を、かなり丁寧に発信し続けていますが、BPLはそれとは違うスタンスがあるだろうと思いました。

ライアン:Backpacking Light.comには「バックカントリー・テンカラ (Baccountry Tenkara)」というオンラインコースがあって、そこでテンカラについての誤解もなくすように、テンカラでできることや、そのテクニックについて伝えているんだ。僕はテンカラロッドで、5~6kgもあるスチールヘッドを釣った実績もあるしね。もちろん、それには魚の種類に合ったテンカラロッドを選ぶ必要があるから、そういったことも伝えてるんだ。他にも、川の流れの中で、大型魚を操るスキルとかキャスティングの方法も学べるようにしているんだ。

このコースを受講した人は、テンカラでできることの可能性に驚く人がたくさんいるんだ。こういった教育をより大きなコミュニティに広めていく必要があると考えているんだ。


「ULハイキング×テンカラ」の旅での野営風景。

佐井:テンカラがアメリカのフィッシングシーンに与えた影響について、どのように考えていますか?

ライアン:まず前提として、アメリカではテンカラは、フライフィッシングのひとつのジャンルとして認識されているんだ。

テンカラの一番大きな功績はというと、フライフィッシングに興味を示さなかったハイカーに、フライフィッシングの世界の入り口を作ったことだろうね。これによって、交わりづらかったULハイキングとフライフィッシングの世界をつなげることができたんだ。

2つ目は、フライフィッシングの複雑さによって手を出していなかった人にも、フライフィッシングを始めやすいものにした、というところだと思う。フライフィッシングはやったことない人でも、テンカラロッドだったら、セットしてキャスティングを始めるのに、慣れれば60秒ほどしかかからないからね。

3つ目は、子供たちでもフライフィッシングをできるようにしたことだと思う。テンカラロッドを子供の手に持たせれば、ほんの数分でフライフィッシングのやり方や魚の捕まえ方を教えることができる。これは本当に素晴らしいことだよね。

佐井:日本では、テンカラがULハイカーと釣りを結びつけるきっかけとなり、またテンカラを始めたハイカーが、その後にフライフィッシングもやるようになる、という流れがあります。なので、テンカラは、ULハイキングとフライフィッシングを結びつけたという話は、とても納得です。

だからこそ、「テンカラ=UL」という捉え方の最初の突破口を作った、BPLとTenkara USAに直接インタビューをするべきだと思った、というのが今回の僕たちの特集の出発点だったんです。

この後のインタビューの後半では、具体的なギアの観点から、「UL×テンカラ」について、引き続き話をしていきたいと思います。

ライアン:わかりました。BPLがTenakra USAと一緒に作ったハイカー向けのオリジナルロッド「Hane」の話も詳しくしていきたいと思います。よろしくお願いします。


次回はライアン・ジョーダンの「UL × テンカラ」の道具論。

次回はBPLのライアン・ジョーダンへのインタビューの後編として、「UL × テンカラ」の旅で使っているギアを中心に語った内容をお届けします。

<Fishing for Hiker | 日本の伝統釣法「テンカラ」が世界中のULハイカーに与えた衝撃>

#01 Tenkara USAの誕生

#02 Tenkara USAに聞く、アメリカのULハイカーと”テンカラ”ムーブメント

#03 日本のULハイカーとテンカラの出会い / 「山より道具」寺澤英明 (前編)

#04 日本のULハイカーとテンカラの出会い / 「山より道具」寺澤英明 (後編)

#05 アメリカのULハイカーとテンカラの出会い / 「Backpacking Light.com」ライアン・ジョーダン (前編)

#06 アメリカのULハイカーとテンカラの出会い / 「BPL」ライアン・ジョーダン (後編)

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佐井聡(1979生)/和沙(1977生)
学生時代にバックパッカーとして旅をしていた2人が、2008年にウルトラライトハイキングというスタイルに出会い、旅する場所をトレイルに移していく。そして、2010年にアメリカのジョン・ミューア・トレイル、2011年にタスマニア島のオーバーランド・トラックなど、海外トレイルでの旅を通してトレイルにまつわるカルチャーへの関心が高まっていく。2013年、トレイルカルチャーにフォーカスしたメディアがなかったことをきっかけに、世界中のトレイルカルチャーを発信するウェブマガジン「TRAILS」をスタートさせた。

小川竜太(1980生)
国内外のトレイルを夫婦二人で歩き、そのハイキングムービーをTRAIL MOVIE WORKSとして発信。それと同時にTRAILSでもフィルマーとしてMovie制作に携わっていた。2015年末のTRAILS CARAVAN(ニュージーランドのロング・トリップ)から、TRAILSの正式クルーとしてジョイン。これまで旅してきたトレイルは、スイス、ニュージーランド、香港などの海外トレイル。日本でも信越トレイル、北根室ランチウェイ、国東半島峯道ロングトレイルなどのロング・ディスタンス・トレイルを歩いてきた。

[about TRAILS ]
TRAILS は、トレイルで遊ぶことに魅せられた人々の集まりです。トレイルに通い詰めるハイカーやランナーたち、エキサイティングなアウトドアショップやギアメーカーたちなど、最前線でトレイルシーンをひっぱるTRAILSたちが執筆、参画する日本初のトレイルカルチャーウェブマガジンです。有名無名を問わず世界中のTRAILSたちと編集部がコンタクトをとり、旅のモチベーションとなるトリップレポートやヒントとなるギアレビューなど、本当におもしろくて役に立つ情報を独自の切り口で発信していきます!

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