パシフィック・ノースウエスト・トレイル (PNT) | #02 ギアリスト編 by Zoey(class of 2022)
文:Zoey 写真:Zoey, TRAILS 構成:TRAILS
毎年、多くの日本人ハイカーが海外トレイルを歩きに行く。スルーハイキングだったり、セクションハイキングだったり、ソロだったり、カップルだったり……それぞれが思い思いのスタイルでロング・ディスタンス・ハイキングを楽しんでいる。
そんなハイカーたちのロング・ディスタンス・ハイキングのリアルを、たくさんの人に届けたい。できれば、それぞれの肉声が伝わるような旅の記録、レポートを紹介することで、読者の方々にその臨場感や世界観をよりダイレクトに感じてほしい。
そこで、ハイカーが自らのロング・ディスタンス・ハイキングの体験談を綴る、ハイカーによるレポートシリーズをスタートさせることにした。
今回は2022年にパシフィック・ノースウエスト・トレイル (PNT) をスルーハイキングした、トレイルネーム (※1) Zoeyによる、第2回のレポート。
スルーハイキングに向けたギアの準備編をお届けする。
Zoey’s ギアリスト for パシフィック・ノースウエスト・トレイル
初めてのロングトレイルなので、道具はいつも使っている安心感や心地良さを感じるものを優先して選んだ。
足りない言語力、土地勘はスマートフォンに頼らざるを得ないので、バッテリーは必要以上に持っていくことに。
PNTでは砂浜を歩くエリアもあるため、軽量なサンダルを持っていくことにした。テントを設営してからのリラックス用も兼ねている。
歩く:HIKING GEAR
バックパックは、allmansright / around 50L。自分は、2020年6月にアメリカ・ニューヨーク州のブロンクスで誕生したこのULブランドに興味を抱き、以前からInstagramで何度かやりとりをしていた。作り手が自分と年齢が同じで、好きなものも近いという感じがして、勝手に親近感を抱いてた。それでallmansrightに頼んで作ってもらったのだ。
今回のバックパックに関しては、いくつかリクエストを出して、以前別のハイカー用に作っていたものをベースに少しアレンジしてもらった。
具体的には、PNT最後のビーチセクションではベアキャニスターが必須になるので、バックパックの上部に固定できるようにV字ストラップを長めにしてもらった。あと、街での補給のタイミングで身軽に行動したいと考えていた。そこで、バックパックから取り外してウエストポーチとしても使用可能な小さいバックを、オプションでつけてもらった。
また、ハイキングで使えるかはっきり分からないけど、問題なさそうだと判断したものも一部取り入れてみた。メインのシャツは、妻の故郷である沖縄のかりゆしウェアの麻のもの。
もともと花柄が好きなのと、日本での日常生活 (アウトドアではない) の雰囲気を感じられるものを身につけていたかったのだ。
ショートパンツは、アメリカで体操服のようなポジションだと書いてあるのを、以前にどこかで見たcobra社のもの。破損しても手に入れやすそうなのと、価格も安く気負わずガシガシ使えそうなものを選んだ。
PNTにはスクランブリング (※2) や長い藪漕ぎが必要なエリアがあり、気温は氷点下から40℃までとさまざまな気温にも対応する必要がある。そこで寒さ対策も含めて、HOUDINIのロングパンツ を予備に持っていくことにした。
寝る:SLEEPING GEAR
蚊が多いエリアがあるので、テントに蚊帳付きは必須条件。超軽量で蚊帳付きのモデル、Zpacks / Hexamid Solo Tentをチョイスした。
グラウンドシートはTyvek。裏に適当に手のひらの絵を描いてみた。知らない土地でも自分が描いた手のひらの上でなら、少しは安心して寝られそうな気がした。
スリーピングマットは、THERM-A-REST / NeoAir XLite Short。約230gと軽量でありながらR値が4.2と高いところに惹かれて選んだ。
ただ、PNTのエグゼクティブ・ディレクターであるジェフのPNTのスルーハイキングレポートにあった、スリーピングマットがパンクしたエピソード (詳しくはコチラ) が強く印象に残っていた。そのため、予備で山と道のミニマリストパッドも携行することにした。地面が荒れている場所で併用することを想定していた。
スリーピングバッグは、いろいろ調べたなかでPNTでおすすめされていた、軽量なキルトタイプでありながら-6℃対応のモデル、ENLIGHTENED EQUIPMENT / Revelation 850 20°F Down Verにした。
ただ、パサイテン・ウィルダネスエリアでは真夏でも氷点下になる可能性があるため、ENLIGHTENED EQUIPMENTの化繊のインサレーション、Senchi Designsのレギンスをスリーピングバッグのブースト用とした。
食べる:COOKING GEAR
トレイル上の食事に関しては、袋めんをメインに、食後にコーヒーを飲んでもいいな、ということでクッカーは2つ携行した。バーナーを汚さないようにする意図もあった。
スタッキングが楽しく、バックパック内でのおさまりも良いjindaiji mountain worksのHillbilly Pot 550,350を使用。必要以上に気をつかわず、ガシガシ使えるので愛用している。
PNTでは水場が少ないエリアがあるので、CNOCの3Lのウォーターキャリーも念のために持っていくことにした。
エマージェンシー・その他:EMERGENCY GEAR & OTEHRS
土地勘のないところなので、スマートフォンのバッテリーが切れるのが何より恐ろしかった。
パサイテンの嵐で数日間ジェフが滞在を余儀なくされたレポート (詳しくはコチラ) の印象が強く、バッテリー2つとソーラーパネルを用意した。
スタート地点のグレーシャー国立公園の残雪に備えて、チェーンスパイクも必須だった。
電波が入らないところでの万が一に備えて、inReach Mini2 (※4) も携行。これで、日本にいる妻とやりとりをして生存確認をする予定だ。
あと、自分はマッサージ好きなので、コルクボールも欠かせなかった。
今回は、PNTをスルーハイキングするにあたってのギアリストを紹介してもらった。次回は、リサプライ (食料やギアの補給) やアクセスのプランニングについてのレポートをお届けする予定だ。
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