TRIP REPORT

パシフィック・ノースウエスト・トレイル (PNT) | #03 リサプライ(食料・ギアの補給)とアクセス編 by Zoey(class of 2022)

2024.03.27
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文・写真:Zoey 構成:TRAILS

ハイカーが自らのロング・ディスタンス・ハイキングの体験談を綴る、ハイカーによるレポートシリーズ。

今回は2022年にパシフィック・ノースウエスト・トレイル (PNT) をスルーハイキングした、トレイルネーム (※1) Zoeyによるレポート第3回。

スルーハイキングに向けた準備編として、リサプライ (食料やギアの補給 ※2) とアクセスのプランニングについてお届けする。

リサプライは、ロング・ディスタンス・ハイキングをする上で重要なファクターなので、これから歩こうと思っているハイカーはぜひ参考にしてみてほしい。

※1 トレイルネーム:トレイル上のニックネーム。特にアメリカのトレイルでは、このトレイルネームで呼び合うことが多い。自分でつける場合と、周りの人につけられる場合の2通りある。

※2 リサプライ:食料やギアなどの補給 (リサプライ)。長い距離・時間をロング・ディスタンス・ハイキングするためには、トレイルを歩き、町におりて補給をし、またトレイルを歩くという行為を繰り返す。


メタライン・フォールズ (WA) にあるホテル。

リサプライ①:食料の補給


3〜4日おきに街に降りて、スーパーマーケットなどで食料を補給した。

– どのくらいの間隔 (日数) で町に降りる予定だったか

エリアによって多少のばらつきはあるが、おおよそ3〜4日おきに食料補給で街に立ち寄るイメージだった。

Jeffの記事 (詳しくはコチラ) にあったパサイテン・ウィルダネスでは、オロビル〜ロスレイクまで約260kmあり、6〜7日くらいで行けそうな印象だったものの念のため約10日間分の食料を持参した。

英語での会話が不安なので、なるべくヒッチハイクが必要のない街での補給をベースに計画を立てた。

ボナーズ・フェリー (アイダホ州)、リパブリック (ワシントン州)、コンクリート (ワシントン州) は、ヒッチハイクかトレイルエンジェルの車に載せてもらう必要があるので、計画段階では立ち寄らない予定だった。


セドロ・ウーリー (WA) のカフェ。

– 町、店でどのようなものが補給できるか等 (食料、燃料、ギア)

トレイルタウンは小さい町が多いが、大半はスーパーマーケットかコンビニがあるので食料の補給は難しくない。ただ、アウトドアショップのない小規模の町が大半なので、特に前半はガス缶やギアの現地 (実店舗) 購入は難しい。

PNT後半の太平洋側に近づくと徐々に都会になっていき、街の間隔も近くなるため、ギアや食料補給もよりしやすくなる。

– リサプライ・ボックス (事前の郵送) などは使う必要があるか

ガス缶をメインに使うハイカーは、リサプライボックスは必須だと思う。小規模な街が多く、ガス缶が手に入らない街が大半なためだ。

食料に関してはヒッチハイクに慣れている人なら使わなくても問題ないと思うが、僕のような極力ヒッチハイクを避けたい人は必要になる。

実際に食料を郵送したのは、ユーレカ〜メタライン・フォールズ間のトレイル近くのフェイスト・クリーク・フォール・リゾート。

またノースポートという街は、PNTのトレイルタウンガイドに載っていたこともあり補給を予定していた。しかし、スーパーマーケットに立ち寄ったらタイミングが悪く閉店していた。街中にひとつだけコンビニがあったので簡単な袋麺は購入できたが、予想外だったので少しヒヤリとした。

ノースポートのコンビニは品揃えが多いわけではないので、不安のある人は街のトレイルエンジェルとコンタクトを取り、リサプライボックスをあらかじめ送っておいたほうが安心だ。

リサプライ②:ギアの補給


途中で日本にいる妻から送ってもらったGossamer Gearのトレッキングポール。

– 旅の途中でギアのリサプライをしたか

歩き始める前は、費用節約のためギアのリサプライの予定はなかった。しかし結果的には、状況を見ながら妻に日本から送ってもらったり、現地でネット購入したりした。

1つはトレッキングポール。グレーシャーで過ごした際に、夜から朝まで強風が吹き荒れていたことがあった。

それまで自分は、高さ調整のできないトレッキングポールを持ち歩きテント設営にも使用していた。そこで急遽、日本にいる妻に伸縮可能なポールを送ってもらい、テントを低く張れるようにして耐候性を高めた。

2つ目はレインスカート。気温が低い朝、夜露で足を濡らし寒い思いをしたことがあった。そこで足元をカバーすべく、現地でネット購入し、道中のトレイルタウンにて受け取って使用することにした。

リサプライできるトレイルタウン


PNTの全体マップ。東端のチーフマウンテンから西端のケープアラバを目指す。

さいごに、PNTで私が立ち寄ったリサプライができるトレイルタウンを一部紹介したい。町の名前の後ろの ( ) 内は、東端から歩き始めた場合のスタート地点からの距離を表示している。

– ユーレカ Eureka, MT (135 mile / 217km)
グレーシャーからスタートし、小さな街ポールブリッジを経て最初にたどり着く、大きな街。スーパーやコンビニ、モーテル、レストランなど、なんでも揃っている。

街のビジターセンター裏でドネーションにてキャンプも可能。日本人のSumiさんという方が営む中華料理屋さんがセンター近くにある。大きいスーパーもある。

アウトドアショップが1つだけあってガス缶の取り扱いもある。でも、小さい店なので売り切れる可能性もありそう。

ロデオ大会が名物で、イベント当日はかなり賑わうようだ。


メタライン・フォールズ (WA) は、山あいのこぢんまりした街。

– メタライン・フォールズ Metalline falls, WA (355mile / 571km)
山あいに突然現れる小さな街。ハイカーフレンドリーなモーテルが1軒あり、リラックスできること間違いなし。

コンパクトな街ながら、郵便局や小さいスーパー、バー、カフェ等、ハイカーに必要なお店が一通りある。ゆったりした空気が流れていてとても魅力的な街。


ハイカーが欲しいものが何でも手に入るリパブリック (WA)。

– リパブリック republic, WA (475mile / 764km)
東のケトル・クレストからトレイルが始まり半円状にまわるちょうど中心にあたる街。PNTはぐるっとこの街の周りを迂回するルートなので、東、南、西の3方向からヒッチハイクにてアクセス可能。立ち寄る予定はなかったが、ガス切れが不安だったので急遽立ち寄ることにした。

スーパーマーケット、ランドリー、レストラン、モーテル (3軒)、バー、カフェ等、ハイカーが望むすべてがある。

スーベニアショップで小さなガス缶を入手できるが、いつもあるかは分からない。何不自由なく過ごせるので、Jeffの記事のように (詳しくはコチラ) 数日充電期間としてのんびり過ごしても良さそう。

– セドロウーリー Sedro Woolley, WA (848mile / 1364km)
PNTA (PNTの運営団体) の事務所があり、Jeffに会いに行った印象的な街。

昔ながらの個人で経営されているアウトドアショップや、重厚な雰囲気のかっこいい郵便局、大きなスーパー、美味しいレストランもある。歴史を感じる彫刻物が街中にあり、雰囲気が良い。

お店も多く、PNTのトレイルタウンの中では大きく、リサプライにも不自由しない。PNT後半を迎える前に、準備を整えるにはうってつけだと思う。

トレイル上から街までは舗装路のロードウォークが長く、かつ大型トラックが真横をバンバン通るのでヒッチハイクか、トレイルエンジェルに連絡してみたほうが良さそう。


ポート・タウンセンド (WA) は、観光地としても有名な港町。

– ポート・タウンセンド Port Townsend, WA (1018 mile / 1638km)
太平洋に面する港町。フェリーでオリンピック半島に入って最初に降り立つ場所。ビクトリア様式の家やビルが立ち並ぶことでも有名な観光地。

公園で路上ミュージシャンが演奏していたり、若いアーティストが近年移住してきていたりと、芸術的な雰囲気もある。

海を見てぼーっとできて、とても居心地が良い。お店も多く、観光地らしく物価は高めだがのんびりと過ごせる。街のスーベニアショップにて簡単なアウトドア用品も購入でき、ガス缶も入手可能。

– フォルクス Farks, WA (1182mile / 1902km)
海外ドラマ「トワイライト」のモデルになった街。フォルクス以降は小さいコンビニしかないため、実質PNT最後の主要補給場所となる。

郵便局、レストラン、スーパー、モーテルがある。もし、PNT最後のビーチセクションのパーミット手配がまだの場合は、この街の滞在時にレンジャー・ステーションに連絡する必要がある。

ホームセンターにて、ガス缶のほか、ビーチセクションで必須のベアキャニスターも入手可能。

トレイル上から街へのアクセスは距離があるので、ハイカー同士の乗り合いタクシーに連絡するか、ヒッチハイクをすることになると思う。余力があれば、歩いてアクセスもできる。

地図とトレイルヘッドまでのアクセス


オフラインでも使用できる地図アプリFarOut。(https://faroutguides.com/より)

– 地図はなにを使用したか

メインはFarOut (※3) を使用。別途、毎年発行の『PNT trail town guide』にて街の様子をイメージした。

ただ小規模の町が多いので、実際に着いた時にはスーパーが休業していたこともあった。不足の事態をイメージしてリサプライボックスをうまく利用したほうが安心だと思う。

※3 FarOut:ロング・ディスタンス・ハイキング、サイクリング、パドリング用のGPS地図アプリ。世界中にある100以上のトレイルが登録されている。もともとは『Guthook App』(ガットフック・アプリ) という名称。このアプリの誕生背景については、リズによる開発者へのインタビューを参照のこと (詳しくはコチラ)。


PNTA (PNTの運営団体) のウェブサイトでガイドブックも購入可能。上記『PNT trail town guide』もここに掲載されている。 (https://www.pnt.org/pnta/know-before-you-go/plan-your-trip/guidebooks/より)

– トレイルヘッド (スタート地点) までのアクセス

スタート地点は、グレーシャー国立公園内チーフマウンテンにあるカナダとのボーダー。

僕はグレーシャー国立公園近くのハイカーフレンドリーなキャンプグラウンドに滞在し、ハイカーたちを送迎するタクシーでボーダーまで向かった。

残雪具合にもよるが、CDTをスルーハイクする予定のハイカーと歩き始める時期も重なるため、シャトルに他のハイカーたちと乗り合い、タクシー代を浮かすこともできる。


ユーレカ (MT) の街並み。

今回は、PNTをスルーハイキングするにあたっての、リサプライ (食料やギアの補給) やアクセスのプランニングについてレポートしてもらった。

次回からは、いよいよパシフィック・ノースウエスト・トレイルのトリップ・レポートをお届けする予定だ。

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Zoey

Zoey

仕事の関係で六甲山の麓に住み始めてから、週末ハイキングを楽しむようになる。その後、パシフィック・ノースウエスト・トレイル (PNT) の運営団体のエグゼクティブ・ディレクターであるジェフ・キッシュのスルーハイキングレポートがきっかけでPNTを歩くことを決意。2022年にPNTをスルーハイキングした。

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