My Best Articles 2024 | #03 トレイル・カルチャーの未来を刺激する30人と、読者が選んだ2024年の記事TOP10ランキング
『My Best Articles 2024』の最終回。ついに、2024年のTOP10ランキングの発表です!
#01と#02では、トレイル・カルチャー (※) の未来を、それぞれの最高の個性をもって刺激してくれるであろう総勢30人が選んだ、ベスト3の記事を一挙に公開しました。
この最終回では、その30人が選んでくれたすべての記事を集計し、さらに読者投票も加算して (*)、TOP10ランキングにして発表します。
多くの人が選んだ記事はどれだったのでしょうか。9位タイから順番に発表していきます。
2024年のマイ・ベスト・アーティクルを選んでくれた30人
マイベスト記事を選んでくれたのは、僕たちTRAILS編集部がリスペクトし、独自の編集観点で選出させていただいたTRAILS的感性でイケてる人々。メーカー、ショップ、メディア、書店、編集者、ハイカー、ランナー、旅人、クリエイター、トレイルの作り手の方々など、総勢30名です。
それぞれの記事の画像をクリックすると、該当記事をご覧になれます。
第10位 (タイ) :It’s a good day! #09 | 車とシカとドンチューウォーリー
トレイルネームサニーこと、TRAILS Crewのタクミくんによる、ピースでイージーでちょっとおバカな気まぐれハイキングエッセイ。この記事はアメリカでのロング・ディスタンス・ハイキングで、道路でシカが車に轢かれるのを目撃してしまった話。タクミくんらしい視点で、自然や生き物との向き合い方が垣間見られるエッセイ。
尾日向 梨沙 (Stuben):「アメリカらしいストーリー。田舎に暮らしてからというものの野生動物との距離が縮まり、道路で轢かれた鹿や狸を見かけることもあり、気持ちがよくわかります。事故で命を失ってしまった動物の分まで生きる、素敵な言葉ですね。」
TRAILS読者:「タクミさんのエッセイは常に良い意味で『軽い』。何気なく1日が始まり、スっと終わる。雑音混じりのラジオが流れる中、特に何も考えずゴロ寝しているタクミさんの様子がいつも目に浮かぶ。『これを成し遂げた暁には…』というような打算が感じられず、読んでいると心地良い。」
第10位 (タイ) :トレイルメンテナンスツアー2024 | 仲間のハイカーたちが支える信越トレイル
2013年、ハイカーとしてトレイル整備がしたいという思いから、Hiker’s DepotとTRAILSで共同企画、運営することになったトレイルメンテナンスツアーのレポート。トレイル整備を長い年月継続していくこと、またカルチャーとして広めていこうというスタンスに、価値や意義を感じた人がたくさんいました。
涌井 健策 (Number):「トレイルのメンテナンスは重要であることは多くのハイカーが認識しているものの、それを継続させることこそが難しいと思います。先日、鎌倉のトレイルを走っていてそれを実感したところなので、10年以上継続した活動ができていることへ拍手を送りたくなりました。」
木村 宏 (信越トレイルクラブ):「みんなで作り支えるトレイルを目指して信越トレイルは成長してきました。ボランティアの皆さんの力をお借りしてここまで来れました。トレイルメンテナンスって何?を解説してくださっている記事は貴重です。ありがとうございます。」
第9位 :パックラフト・アディクト 欧州編 (イザール川 & アンマー川等) by コンスタンティン ※全3回
TRAILSのアンバサダーであるコンスタンティンによる欧州のパックラフティング・レポート。本場アルプスの景観を見ながらハイキング & パックラフティングしたイザール川 & アンマー川や、古城や美しい渓谷と森をめぐったドイツのリーザー川等、ヨーロッパならではパックラフトの旅への関心や憧れを刺激してくれるレポートでした。
堀川 臣樹 (PADDLE QUEST):「ヨーロッパの古城というスパイスを加えた、ドイツの深い森と渓谷を漕ぐパックラフトを使ったウォータートレイルの旅。旅の途中でも行程や野営地を臨機応変に変えやすいことが、パックラフトを使う旅の魅力。その魅力に古城と渓谷の美しい写真が詰まったレポートでした。」
TRAILS読者:「海外の雄大な川をパックラフトで漕ぎたい気持ちにさせる。その魅力だけでなく現実的な苦労もわかる、とても良いレポートでした。」
第8位:開発ストーリー #04 | UL黎明期のバックパックの実験的なデザイン思想にインスパイアされた『Simple × Classic × Super Ultralight』
『Simple × Classic × Super Ultralight』をコンセプトにした、TRAILSオリジナルのプロダクト「ULTRALIGHT CLASSICシリーズ」を開発ストーリー。ウルトラライト (UL) の起源から黎明期におけるヒストリーをたどりながら、そこに見出したULの本質をひもとくレポート。ULのプロダクトに宿っている本質的な思想に、関心を持ってくれた方々が多いレポートでした。
四角 友里(MOUNTAIN DAISY PRODUCTS):「ULカルチャーの黎明期からの歴史や思想、バックパック軽量化へのアプローチがまとめられていて、この1本を読めば、総復習できる!という記事。これをまとめた、TRAILSの熱意にも感服。」
松本 和也 (BLUE LUG):「道具って、壮大な失敗の蓄積を経て、市場に流通してたり、本来は非常に個人的な物だったり‥。いまはガレージメイカーの道具を手に入れるのが簡単な世の中ですけど、その道具にはどんな血が通ってるのかが知れるような、生々しい記事で、大変興味深い内容でした。」
第7位:私的ロング・ディスタンス・ハイキング考 | #01 ロング・ディスタンス・ハイキングのきっかけ
TRAILS – HIKING FELLOWの根津貴央による、ロング・ディスタンス・ハイキングについての、私的な考え方の遍歴と今を綴っていく新連載。第1回は、本格的にロング・ディスタンス・ハイキングを始める前に、どのような思いやきっかけがあったか、という話。ロング・ディスタンス・ハイキングそのものへの純粋な思いが綴られた文章に、共感が寄せられました。
福地 孝 (ALTRA):「根津さんの読み心地の良い文章で、彼のハイキングへの向き合い方が表現されている。
年取ると利害関係のない人間関係も減っていき、遊びにすら利害関係を持ち込んでしまうような有様の中、目的としてハイキングを楽しむ様が、ハイキングの理想像として刺さる。」
TRAILS読者:「『歩く』いうごく私的な行為が、西洋と東洋の文化を超えて、精神的な営みとしての普遍性へと続いてゆくかのような、新たな地平への始まりの予感が、墨絵の繊細な濃淡から漂って来るようでした。」
第6位:ULTRALIGHT GARAGE MAKER MOVEMENT ~ ウルトラライトとMYOGがつくる熱狂
ウルトラライト (UL)とMAKE YOUR OWN GEAR (MYOG) を中心に、トレイルカルチャーにおける「メーカームーブメント (MAKER MOVEMENT) 」である、「ULTRALIGHT GARAGE MAKER MOVEMENT」の刺激となるようなコンテンツをお届けする記事。Gossamer Gearチームとのミートアップや第2回のMYOGer NIGHTをレポートしました。ULとMYOGの根源にある熱量を多くの人が感じてくれました。
尾崎 光輝(Jindaiji Mountain Works):「僕もMYOGから今のキャリアをスタートさせた1人です。自分でMYOGらないとULギアがなかった昔と今ではMYOGの背景も環境も違うけれども、クラフトする事の楽しさは変わらないよね。僕も今だにMYOGしまくってる。次回は僕も遊びに行こうかな?」
TRAILS読者:「同じ時代を生きているMYOGerの熱量に感動しました。」
第5位:SKI HIKING | トニー、サニー、ノブのBCクロカン・トリップ あまとみトレイル2DAYS ※全5回
「歩くスキー」であるBCクロカンにフォーカスした『SKI HIKING』の記事。BCクロカンは、滑りながら歩けるその機動力で、雪の世界におけるハイキングの旅を拡張してくれる。そんなBCクロカンの旅に出た、TRAILS Crew3人の珍道中のレポート。やってみたかったBCクロカンのレポートで、ワクワクした、参考になった、という声が多く寄せられました。
高橋 康太 (一二):「いつかやってみたいBCクロカントリップ。三者三様のギア選びがとても参考になりました。」
TRAILS読者:「世の中に数少ないBCクロカンの記事。3人の楽しげな雰囲気が最高です!」
第4位:アイスランド縦断ハイキング 575km / 18 days by ホイットニー・ラ・ルッファ※全2回
ホイットニーによる新たな連載。ホイットニーはロング・ディスタンス・ハイカーであり、ULギアメーカーのシックス・ムーン・デザインズ (Six Moon Designs) で、ボードメンバーとしても活動している。そんな彼による情報が少ないアイスランドのトリップレポートは、読む人にまだ見ぬ世界への憧れをかき立ててくれました。
上田 瑠偉(プロトレイルランナー):「北欧にとても興味があり、その一部をこの記事を通して覗くことができた。改めてこれまで行ったことのない国や山に行きたいと強く思った。」
森 卓也 (蔦屋書店):「アイスランドはもう一度行きたい国の一つで、主要な観光地を巡るだけだった私でも、この国の魅力は名もなき自然にあると感じました。その様子をたっぷり見せてくれたのがこの記事です。次はこんな旅をしてみたいです。」
では、いよいよここから『TOP3』の発表です!
トレイル・カルチャーの未来を刺激する30人と、読者によって選ばれた、2024年のTRAILSの記事TOP3は?
第3位:LONG DISTANCE HIKER #19 川野直哉 | リタイアによって見えたロング・ディスタンス・ハイキングの自由
第3位に選ばれたのは、PCTを怪我によりリタイアした川野さんのインタビュー記事。誰にでも訪れうるリタイア。その時にハイカーのうちにわき起こる、リアルな心の葛藤が、多くの人にロング・ディスタンス・ハイキングとは何か、という本質を見つめ直すきっかけとなりました。
土屋 智哉(Hiker’s Depot):「今や海外のロング・ディスタンス・ハイキングの情報は、少しネットを探せば手に入るようになった。発信するハイカーの多くはリタイアよりもスルーハイキングの経験を語るので、歩けるのが当たり前のような印象すらある。
しかし半年間の長旅は一筋縄ではいかない。自然は不規則で、自分の体調や精神状況も刻々と変化する。予定調和ではなく、トラブルと向き合うハイキングの現実を誇張することなく、伝えてくれるインタビュー。当たり前ではない海外ハイキングの本質を伝えてくれるこの記事を多くのハイカーに読んで欲しい。」
TRAILS読者:「歩き続けたい気持ちが痛いほど伝わってきた。またアクシデントによってスルーハイキングに対する気持ちが変わっていく、その葛藤がすごくリアルに伝わりました。」
第2位: MYOGer NIGHT | メーカームーブメントの新たな系譜となるか。2020年代のMYOGerたちによる熱狂 ※全2回
第2位にランクインしたのは、第1回のMYOGer NIGHTのレポート。「ULTRALIGHT GARAGE MAKER MOVEMENT」をまつわる熱狂。2000年代から連なる現在進行形のムーブメントを感じさせるに十分な、このイベントに参加したMYOGerたちの異様な熱量が、驚きと発見としてさまざまな人たちへと届いてくれたようです。
舟田 靖章 (トリプルクラウナー):「2009年のPCTのキックオフパーティでMYOGのコンテストに居合わせました。その時はアメリカのMYOGのすそ野の広さに感嘆し羨ましく思ったのですが、日本でもこんなパーティーがあるとは!」
桑原 慶 (Run boys! Run girls!):「僕はMYOGはしないけれど、2000年代は『MAKERS』を読み、2010年代はMYOGをする友人ができて、彼らがブランドを立ち上げて大きくしていく様を目の当たりにしてきた。メーカームーブメントの初期の熱狂を肌で感じていたTRAILSの、INNOVATION GARAGEを通じて2020年代のMYOGムーブメントを盛り上げていこう、という静かな熱さが感じられるのが良かったです。」
千代田 高史 (MoonlightGear):「自社のオリジナルアイテムを開発を始めているのだが、やはり売れる売れないということよりも、『自分の作りたいものを作る』というものに勝るものはないな、と最近感じています。そういった意味で記事に出てくる皆様のギアも自分が欲しいものを作る!という気持ちが満載で良いなと!思いました。」
第1位:take less. do more. 〜 ウルトラライトとMAKE YOUR OWN GEAR by グレン・ヴァン・ペスキ ※全3回
2024年の栄えある第1位は、今年新しく立ち上げた、Gossamer Gearのファウンダーであり、ウルトラライト (UL)、MAKE YOUR OWN GEAR (MYOG)、およびULガレージメーカーのゴッドファーザーである、グレン・ヴァン・ペスキによる新連載。
現代に息づくULとMYOGの原点とその本質を当人が語るこの連載に、ULハイカーやMYOGer、ガレージメーカーとどまらず、さまざまな層の人たちに大きな喜びを持って受け止められ、最も多くの票が集まりました。
三浦 卓也 (HARIYAMA Productions):「僕のウルトラライトの先生は何名かいます。担任は『山より道具』の寺澤さんだが、間違いなくグレンさんも多大な影響を受けた先生の一人です。そんなグレンさんの『好きなものを作っているだけなんです』という言葉はとても心に刺さりました。グレンさんのUL x MYOGをテーマにした連載に今後も目が離せません。」
伊藤 圭 (ネオアルプス):「Gossamer Gearの創始者であるグレンの、MYOGerとして、ギアメーカーとしてのシンプルな探求心が響いた。それは大工が作る家のことばかり考えるのではなく、木を削る大工道具に思いを馳せるようでもあった。」
五十嵐 雅人 (山と溪谷):「グレンさんの『実践があって道具がある、その逆はない』というコメントをどこかで読んで、いたく感銘を受けました。そんな思想を今後の連載からも期待したいです。」
TRAILS読者:「ULという言葉が世の中で多く使われている中、本来的な意味やそのストーリーを知ることができるのがよい。」
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『My Best Articles 2024』、これにて完結です。トレイル・カルチャーの未来を刺激する30人の方々、投票してくれた読者の方々、ご協力ありがとうございました。
そしてあらためて、この1年TRAILSを支えてくださったみなさま、ありがとうございました。TRAILS編集部一同、すべての方々に感謝します。
TRAILSは、2025年も新たな企画や仕掛け、試みにトライし、仲間たちと協力しながら、より一層、日本のトレイル・カルチャーを盛り上げていきます。
2025年もよい旅を!
Happy Trails!
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